文献詳細
文献概要
特集 人口問題
保健医療需要と人口
著者: 小泉明1
所属機関: 1東京大学医学部公衆衛生学教室
ページ範囲:P.364 - P.369
文献購入ページに移動人類史の上で,今世紀ほど人口動態の激動が経験されたことは,かつてなかったと思われる.日本の人口動態についても,とくに第2次大戦後の30年余という短い期間に,空前絶後といってもよいほどの激しい変動がみられた.すなわち,1947(昭和22)年に人口1,000対34.3であった出生率は1980(昭和55)年には13.6に下り,1947年に人口1,000対14.6であった死亡率は1980年には6.2を示すに至った.
死亡率の動向を反映する平均余命,とくに出生時(零歳)平均余命である平均寿命についてその推移をみれば,1947(昭和22)年に男50.06年,女53.96年であった日本人の平均寿命は1980(昭和55)年には男73.32年,女78.83年を示している.さらにさかのぼって1921〜25(大正10〜14)年には男42.06年,女43.20年であったことを考慮すれば,半世紀余の期間にいちじるしい改善のあとがみられたといえよう.
掲載誌情報