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特集 人口問題
人口高齢化と住宅問題
著者: 三宅醇1
所属機関: 1豊橋技術科学大学建設工学
ページ範囲:P.395 - P.401
文献購入ページに移動高齢人口は一般に65歳以上とされるが,この層は1920年の国勢調査では294万人(5.26%)の存在であった.その後の40年間はほぼ同率のまま推移し人数を増加させ,1960年には2倍増の540万人となった.次の20年間で倍増し,1980年には1,057万人(9.04%)に上昇した.今後の20年間で937万人の増(現在の2倍)が見込まれ,次の20年間でも801万人の増が見込まれる.21世紀は高齢層3,000万人(現在の3倍)で推移すると予測される.約1世紀の間に10倍増であり,当面も過去60年間の増分以上を次の20年で受けとめ,さらにその次の20年へも継続するのであって,これらの受け皿としての住宅問題は,極めて大きな社会的課題と思われる.
しかも1920年から1960年までの40年間の高齢層の増加は農村の「家族制度」が受けとめ,問題を顕在化させなかったが,1960年以降の変化は脱農業社会・都市化・核家族化などの社会構造の大変革を伴いつつ生じてきており,従来の未経験の事態に対する解決を迫られているということであり,量の巨大さは,極めて深刻な課題として受けとめる必要がある.
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