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特集 アルコール問題
アルコール問題における福祉と保健行政
著者: 目黒克己1
所属機関: 1静岡県衛生部
ページ範囲:P.808 - P.811
文献購入ページに移動福祉と保健という言葉は広義に使われることもあれば狭義に使われることもあり,言葉の使い方で無用な論議を避けるためにアルコール問題にかかわっている現場の人々が一般的に使っている意味で,この福祉と保健という言葉を使うことにした.
公衆衛生活動や福祉関係の現場で,実際にアルコール依存症患者を扱っている専門家達は,福祉とは厚生省の社会局,各都道府県の民生部が所管している生活保護法に基づいた福祉事務所がおこなっている各種の事業であるとしており,また保健事業は厚生省の医務局および公衆衛生局,各都道府県の衛生部が所管している保健所,精神衛生センター,病院,診療所がおこなっている事業を指している.この2つの行政機構はそれぞれ異なった目的の法律に基づいて活動しており,わが国の行政機構の特色であるいわゆる縦割りの効率的な所管の区分がおこなわれている.しかし当然のことであるが,社会変化や国民の意識の変化などのさまざまな理由で,この2つの機構のどちらも所管していないか,或いは両者が部分的に重復して所管しうることなどの理由から,どちらも積極的に取組まない,いわゆる行政の谷間と呼ばれている部分が生じて,時には大きな社会問題となってから初めて解決されることもある.今回福祉と保健行政というテーマが取り上げられた背景には,この2つの行政機構の間にアルコール問題の対策をおこなう上で何らかの困難があることが,関係者の間で論じられているためであろう.
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