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特集 肺がん
現状における肺がん臨床の基礎的問題点
著者: 山口豊1 木村秀樹1 岩井直路1 斉藤幸雄1 下山真彦1 田宮敬久1
所属機関: 1千葉大学医学部肺癌研究施設外科
ページ範囲:P.168 - P.175
文献購入ページに移動肺がんの研究や診療が本格的に行われるようになったのはこの20年間位のことであるが,その進歩にはめざましいものがある.しかしその反面,その治療成績は必ずしも満足すべき向上がみられているとはいえない.胃がんや子宮がんが罹患例数が多いのにその治療成績が向上してきているのは,胃がん・子宮がんに対する集団検診を中心とした診断体系が国の行政の中である程度確立されてきていることにほかならない.肺がんではその罹患数も確実に増加しているが,死亡数もそれに比例して増加してきている.胃がんや子宮がんがその診断体系の中で早期例を数多く発見することができ,かつ治すことができるようになってきているのに,肺がんの死亡数が多いということは,それだけ治るがんが少ないことを示している.われわれは近年集学的治療による治療成績向上のための対策の開発,考案の努力を懸命に重ねてきているが,これらの治療は延命効果を僅かではあるが期待し得るようになってきている.
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