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特集 救護システムと救急医療
医科大学における救急医学教育—国立大学の立場から
著者: 三井香児1
所属機関: 1東京大学医学部救急部
ページ範囲:P.278 - P.282
文献購入ページに移動救急医療の推進については様々な点から議論されてきて久しいが,近年ようやく1つのシステムとしてその整備が実現しつつある.しかしながら,救急医療の地域医療としての側面と,医学の専門分化に伴う細分化された領域の,単なる応用技術としての側面が強調されすぎたきらいがあり,救急医学そのものの認識と,医科大学における救急医学教育に関しては,無視に近い扱いを受けてきたといえよう.
大学病院をはじめ各種の医療機関において,内科,外科,整形外科,小児科,脳神経外科の如く,細かく分れた診療科が,それぞれの決められた日常業務の片手間に,救急診療を行うことが救急医療であるとする考え方が,医学関係者の間では,未だ支配的であるが,この考え方こそが,救急医学と救急医学教育を思考の外に追いやってきたのである.一般の人々は,すべての医師が救急医療を行えるものと観念的に信じているが,適確な救急治療の知識と技術を持つ医師は,極めて少ないのが実情である.このことは,医科大学において,救急医学の講義や実習も行われなかった,従来の医学教育と救急医療に非協力的といわれた附属病院での卒後研修を考えれば,驚くに値しない.それでも最近は,各地の医科大学の病院に救急部門が設置され,その活動をもとに救急医学教育が実施されはじめた.本稿では国公立大学における救急医学教育として,東京大学医学部の例を述べ,あわせて今後の方向につき検討を加える.
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