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特集 救護システムと救急医療
大都市における救護システム—救急医療システム
著者: 上野幸一1
所属機関: 1東京都衛生局医務部救急災害医療対策室
ページ範囲:P.296 - P.298
文献購入ページに移動農業文化を中心とする文明の時代においては,武士による戦争を除いて「医療の救急・救護」という概念はなかったのではなかろうか.我が国では明治維新の文明開化によって,工業や商業を中心とした産業文明が急激に拡大した.その結果,農村に拡散していた人々は,アルビン・トフラーのいう6大原則によって,ますます都市に集中し,親子孫を中心とした大家族は,次第に核家族化するとともに単身生活者も多くなって来た.
その中で,病気になれば家族が面倒をみ,重症者は医師に運ぶか医師の方から往診するというコミュニティ・ケアーも次第に姿を消していった.さらに都市化は,火災や交通事故に加えガス爆発,工場災害事故等の大規模災害を増大させた.そのため,突発不測に発生した傷病者を救護し,搬送するシステムと,これらを収容・治療する医療機関を整備する必要が生じて来た.
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