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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生48巻12号

1984年12月発行

文献概要

特集 薬物依存をめぐる諸問題

飲酒とアルコール依存症

著者: 大原健士郎1 鈴木康夫1

所属機関: 1浜松医科大学精神神経科学教室

ページ範囲:P.865 - P.870

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■はじめに
 わが国の飲酒人口は年々増加しており,昭和56年には5,481.2万人にのぼる1)と報告されている.このうち,問題となるのは各年齢層への飲酒人口の浸透,特に低年齢化と,女性飲酒者の増加である.これに伴いアルコールに関連する身体的障害あるいは社会的障害,そしてアルコール依存症やアルコール精神病が増加している.
 飲酒人口の増加の原因は種々考えられるが,まず第一は飲酒パターンの変化である,かつては職人や肉体労働者が習慣的に飲酒をし,その結果としてアルコール依存症になることが多かった.しかし,現在では大学生でもOLでも気軽に飲酒し,それが一つのファッションになっている.これには,ジャーナリズムによる酒類の宣伝が大いに影響していると考えられる.第二はトランキライザー代わりに飲酒する者が増えたことである.つまりストレス過剰の現代において,ストレスを回避する手段として,また空虚感をいやす方法として,アルコールの摂取は安価で手っ取り早い処置法である.しかも,精神安定剤や睡眠薬を使用するには多少の罪悪感を伴うが,アルコールにはそれがない.第三は,飲用するアルコールの内容的な変化である.最近では,若者の日本酒離れがすすみウイスキーの消費量が伸びている,また,この夏にはビールよりも焼酎が好まれたという話題が新聞紙上をにぎわした.ここでは,現在のアルコール関連問題についての疫学,アルコール依存の概念,その対策について述べるつもりである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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