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特集 アメニティ・保健・福祉
アメニティと健康への志向
著者: 田中恒男1
所属機関: 1東京大学医学部保健管理学教室
ページ範囲:P.460 - P.464
文献購入ページに移動アメニティ(Amenity)とは,もともとヨーロッパで提唱された概念であって,この言葉が日本に導入されてから,「快適性」とか「快適な環境」とかの訳が出廻っているが,こうした訳語にはとかく誤解がつきまといやすい.本来の意味は,「住み心地のよさ」といったものである.英国の都市計画行政の根底にあった思想であるだけに,その発想の根源を知らないわが国の人々は,実際に「人にとって気楽な環境」であるとか「便利な環境」である,とかのように受け取り,今日のHA(ホーム・オートメーション)ブームの中で,坐っていただけで何でも事が済むといった,イージーな環境づくりに期待を掛けているケースが多い.
W. ホルフォード(英)は,アメニティを次のように定義している.すなわち,「アメニティとは,単に環境の一つの特性ではなくて,複合された総合的価値の目録である.その要素としては,美,心理的な落ち着きのある風景,生活上の条件の便利と快適さなどが挙げられる.このような環境整備の条件達成こそアメニティの基本概念である.」としている.
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