公衆衛生48巻9号

1984年09月発行

特集 老人保健法—2年が経過して

老人保健法と市町村—市長の立場から

著者： 山田三郎¹

所属機関： ¹富士見市役所

ページ範囲：P.616 - P.622

■はじめに
　私は，「老い」についてプラスのイメージをもつとき，可能な限り病気の束縛から逃れて，幾歳になっても創造的で行動的でありたいと願う．一方，マイナスのイメージをもつとき，貧困と病気と孤独という生からくる不条理に直面する．
　人間にとり，「老い」は避けて通れず否定もできない．しかし，自身も含め多くの人間は，自分はまぎれもなく自分であるという存在感を持ちつつ生活しているうちに，いつの間にか「老人」になってしまった．また周囲が「老人」として扱い始めた．「病い」や「行動力」，「記憶力」，「視力」等の低下で意識せざるをえなくなってきた．というのが「老い」の現実ではなかろうか．