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特集 公衆衛生の歴史的発展と将来展望
日本における公衆衛生発展の特質と将来展望
著者: 橋本正己1
所属機関: 1埼玉県立衛生短期大学
ページ範囲:P.4 - P.9
文献購入ページに移動新しい世紀に向かって,世界の歴史は今日転換の大きなうねりを経験している.これは,米ソに代表される東西関係もさることながら,主として第二次大戦後,長年の列強の支配から脱して民族の独立を勝ちとった,おびただしい数の南の新興諸国の国際政治舞台への登場によるものである.健康問題の領域におけるその典型的な現れが,Alma-Ata宣言(1978・9)によるPrimary Health Care(PHC)推進の全世界に対する激しいアピールであり,これによって在来の保健・医療・福祉の姿が根源的に問われているが,筆者はPHCこそ近代公衆衛生活動の原点に対する歴史の問いかけであると理解している.
わが国の近代的な意味での公衆衛生は,その出発点とされる医制76条の公布(明治7・1874)以来すでに110年を経過し,また明治16(1883)年,官民一体の公衆衛生推進を目的として発足した大日本私立衛生会を前身とする日本公衆衛生協会も,昨年創立100周年を迎えている.この間わが国の公衆衛生は,とくに第二次大戦後の平和・民主国家への新生の基盤である日本国憲法をバネとして,その後内外の激動下の40年近い歳月の間に,注目すべき発展を示したことは特記すべき事実であろう.
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