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特集 公衆衛生の歴史的発展と将来展望
公衆衛生と高齢化社会
著者: 大和田國夫1
所属機関: 1武庫川女子大学
ページ範囲:P.17 - P.23
文献購入ページに移動戦後の疲弊にあえいでいた頃のわが国の衛生状態は,欧米諸国に比して決して良好とはいえなかった.誰もが公衆衛生の発展を願い,努力してきた.衛生状態の一端を示すものとして,表1のごとき資料について,その変遷をみると,確かにわが国の今日における衛生状態はすばらしく良くなり,今や世界のトップレベルを占めるに至ったことは事実である.
わが国における公衆衛生の発達は,出生率の減少,乳幼児,青年期における死亡率の極端な減少という型で現れ,その結果,生命の延長を実現させ,ひいては老人人口の増加となって,欧米なみの高齢化を迎えようとしている.65歳以上人口の全人口に占める割合は現在9%であり,昭和75年(2,000年)には約15%に達するであろうと考えられているから1)2),21世紀のはじめには,現在の欧米諸国と同じレベルになるわけである.しかし,欧米の高齢化はイギリスをのぞき,100年あるいはそれ以上の時間をかけて今日のレベルに達しているわけであるから,わが国の高齢化は実に急速な速度で実現しつつあるといわざるを得ない.
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