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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生49巻12号

1985年12月発行

文献概要

特集 集合住宅

集合住宅と乳幼児の健康

著者: 高野陽1

所属機関: 1国立公衆衛生院母性小児衛生学部

ページ範囲:P.798 - P.804

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■はじめに
 小児にとって,「環境」は重大な意義を有していることは周知のとおりである.特に,小児が年少で,かつ発達状態が未熟なほど,その小児が受ける環境条件の影響はより強いものとして現れてくる,それは,健康障害に対する影響だけではなく,小児の最大の特性である,発育発達が正常であるためにも重要なことである.殊に,乳幼児においては,その生活のあらゆる場面が,乳幼児を養育している大人(単に親だけではない)に支配されているために,乳幼児の生活の「場」も大人の規制のもとにおかれていることになり,乳幼児自ら生活の場を支配することができない状態にある1).すなわち,大人の認識の程度によっては,乳幼児はとんでもない生活の「場」におかれてしまう危険性をもっていることになる.このことを我々は十分に認識しておかなければならない.換言すれば,乳幼児の環境は与えられたものであり,乳幼児に対してどのような環境を与えることができるかが重要な課題となり,小児保健分野の大きな任務ということになろう.
 さて,乳幼児にとって住居は,最も身近な生活の場であるが,その住居のもつ「器」としての条件に加えて,そこに住む「人」の条件について考慮して,健康との関連を検討しなければならない.乳幼児の場合,先にも述べた如く,生活が養育者に支配されているため,「人」がもちこむ養育条件によって発生する健康障害を無視できないためである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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