icon fsr

文献詳細

雑誌文献

公衆衛生49巻2号

1985年02月発行

文献概要

特集 栄養疫学

栄養状態と脳卒中に関する栄養疫学—新潟県新発田市における実践例

著者: 田中平三1 伊達ちぐさ1

所属機関: 1大阪市立大学医学部公衆衛生学教室

ページ範囲:P.94 - P.101

文献購入ページに移動
■栄養疫学
 疫学の原理と方法1)に基づいて,栄養状態とある疾病(健康)との因果関係を追究する学問が栄養疫学である.人間の栄養状態を示す変数をX,ある疾病をYとする.栄養疫学の第1段階(現象論)では,主として生態学的研究によって栄養学的要因Xと疾病Yとの因果に関する仮説が設定される.いくつかの集団を対象にして,Yの有病率とXとを同時に測定して,両者間の関連性を検討する.第2段階(実体論)では,設定された仮説を検定する.患者・対照研究により,疾病Yの患者群と疾病Yでない対照群とにおけるXに暴露された者の割合を測定する.コホート研究では,疾病Yの非罹患者をX暴露群と非暴露群とにわけ,一定期間追跡し,両群におけるYの発生率を比較する.第3段階(本質論)の介入研究(実験栄養疫学)では,X暴露群を無作為にX除去群と非除去群とにわけ,一定期間追跡し,両群におけるYの発生率を比較する.Xの非暴露群を無作為にX適用群と非適用群とにわけることもあるが,XがYのリスクを高めることが推理されている場合には,これを実施してはならない.このようにして,栄養学的要因Xと疾病Yとの間に因果関係があると決定されると,他の発生要因との相互関係が検討され,疾病Yの発生機序が解明されていく.
 地域における公衆栄養活動は,(1)集団における栄養に関する問題点の発見と決定,(2)公衆栄養活動の目標,方策の樹立,(3)公衆栄養活動の実施,(4)評価の4ステップを順序どおりに踏襲して実践されている2)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら