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日本列島
し尿処理従事者の酸素欠乏による死亡事故
著者: 井口恒男1
所属機関: 1岐阜県衛生環境部地域保健課
ページ範囲:P.101 - P.101
文献購入ページに移動昭和59年7月,岐阜市のし尿処理場において,汚泥の水切りピット内にたまっている汚泥をくみ上げるため,清掃従業員1名がピット内に入り,水を注入かくはんしながらバキュームカーにより排出作業を始めたところ,急性の硫化水素中毒にかかった.これを救助しようとして5人が次々とピット内に入り,この5人も被災し,遂には3名の死亡者を出すという不幸な事態に至った.
換気の不良な地下室や水槽等においては,酸素欠乏を来しやすく,さらにし尿汚泥の例にみられる,硫化水素等の有毒ガスの発生が加わり,酸欠症やガス中毒を起こし致命的な状況に至ることも多い.労働省の資料によると,昭和55年から58年の4年間に,酸欠症は140例みられ,48例の死亡が発生しており,また,酸素欠乏地点での硫化水素中毒は,47例で18例の死亡が発生している.職種別にみると,酸欠症は輸送用機械器具製造業45例,建設業35例,清掃業11例,食品製造業10例,その他39例であり,硫化水素中毒は清掃業29例,建設業7例,その他11例である.職種上からみても清掃業での事故発生は多く,4年間に21名の犠牲者を出しており,安全衛生対策上注目すべきものがある.
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