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調査報告
在日韓国・朝鮮人一集住地区の社会医学的実態調査
著者: 車谷典男1 伊木雅之1 平田邦明1 森山忠重1 中桐伸五23 片木健一4 金安明5 李民実5
所属機関: 1奈良県立医科大学,公衆衛生学教室 2岡山大学医学部衛生学教室 3現、自治労安全衛生対策室 4京都南病院 5共和病院
ページ範囲:P.340 - P.345
文献購入ページに移動1 980年の国勢調査1)によれば,日本に在住する韓国人・朝鮮人*)は,男性285,543人,女性272,129人,計557,622人である.1910年の日韓併合以来,日本の植民地政策,戦争遂行政策の中で,職を求め,あるいは徴用,強制連行によって渡日してきた人々2)とその子孫である.人口学的研究3〜6)や死因構造の研究7〜9)により,日本で最大の少数民族であるこの集団が,日本人に比べ平均余命は短く3,4,6),全結核,自殺,悪性新生物の死亡率が有意に高いこと3,7〜9)などが明らかにされてきている.これらの差違の背景要因としては人種差や伝統的生活習慣などの違いが挙げられよう.しかし,従来より指摘されているように,在日する韓国・朝鮮人の住居環境,労働条件等の社会環境は日本人のそれと比較して不良10,11)であり,それ故,在日韓国・朝鮮人の健康問題を考える場合,社会環境がとりわけ重要な背景要因であると思われる.しかし,このような観点からの社会医学的調査は現在に至るも見当たらないようである.
今回,大阪府下の在日韓国・朝鮮人の一集住地区の実態調査の機会が得られたので,健康診断と住居環境,労動環境等のアンケート調査を実施し,実態を把握するとともに,これらが健康に与え得る問題について検討を加えたので報告する.
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