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文献概要
特集 肥満/標準体重
肥満度と皮脂厚計測
著者: 豊川裕之1 佐伯圭一郎1
所属機関: 1東京大学医学部保健学科疫学教室
ページ範囲:P.473 - P.478
文献購入ページに移動肥満は成人病の促進要因ないし遠因として,医学的にも日常的にも強い関心を集めている.そのこと自体は,かつて肥満を"恰幅のよさ"として評価する傾向が世俗的にはあり,かつ,医学的にも栄養不良ではないという漫然とした範疇に位置づけられていたことに比べて進歩した状態である.
しかしながら食糧不足が食糧過剰に,飢えが飽食にと環境も実態も変化するなかで,日常の生活活動量が漸減したために,摂取エネルギーが消費エネルギーを凌駕しやすくなり,体内の脂肪蓄積が極めて普通に進行するようになった,つまり,肥満化がごく普通に進行したのである.しかも,肥満の定義は世俗的には誤解されているのではないだろうか.そして,肥満ではない正常な,むしろ健康な体型をも肥満と判断して,極端に食事制限を図る風潮が目につくようになった.その結果,筋肉の緊張が低下した(atonia)弱々しい体躯に美的評価が偏ることさえ生じている.竹久夢二の描いた女性像が女性美として受け入れられるようになったのである.もっとも,ルノアールの描く豊満な女性像は肥満体であって,これも健康美とはいえない.同じことが男性像にもいえるのであり,医学的に評価される体型は容易に容認されがたい.
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