文献詳細
文献概要
日本列島
ヘリコプターによる救急医療システム
著者: 井口恒男1
所属機関: 1岐阜県衛生環境部地域保健課
ページ範囲:P.610 - P.610
文献購入ページに移動救急医療対策のポイントの一つは救急患者発生現場から適切な医療機関に如何に迅速に応急処置し搬送するかである.わが国では消防署の救急車による救急搬送方式が定着しており,先進諸国のように空輸による搬送システムは確立されていない.
59年度国土庁は,ヘリコプターによる救急医療システムの実験を,福島県等と取り組んでいるようであり,これに参加した製作会社が60年2月岐阜県で展示会を催し,全国から関係者が見学に来た.実験機は全長約13m,標準重量1,600kg,航続距離500km,航続時間2.8hrsの中規模のヘリコプターを装備したものであり,双発エンジンにより安全性の高いものである.機内は操縦士席,副操縦士席の他.第1担架の頭側に医師席,左側に救急隊員席,さらに第2担架も装着できるようになっている.人工蘇生器,吸引機,心電計,救急薬品,点滴一式.気管切開一式,保育器など応急措置に関する器材が,すべて医師席から手の届くところに備えられている.本機の特長は双発エンジンであるため,一方のエンジンにトラブルがあっても走行できることや,尾側を開き戸で開け担架のまま患者を収容できること,ドクターズヘリとして応急処置を施しながら飛行できることなど,従来のヘリコプターに見られないものである,本機は国内メーカーと西ドイツのメーカーが共同開発したものであり,救急器具等は外国製品が多く,最新の器具が多い.
掲載誌情報