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衛生公衆衛生学史こぼれ話
12.コレラさわぎ
著者: 北博正12
所属機関: 1東京都環境科学研究所 2東京医科歯科大学
ページ範囲:P.628 - P.628
文献購入ページに移動衛生学者である別天師がこれに挑戦するのは当然で,むしろ義務ともいえよう.彼の立場は,環境の不潔,とくに土壌(地下水も)の汚染に注目し,精力的に各地の土壌汚染とコレラの発生数との関係を,今日の言葉でいえば"疫学的"に調べた.調査の対象になった地区は,広く国外にまで及んでいる.その結果,彼の出した結論は,汚染された土壌中の空気が地表に放散される際,瘴気(ミアスマMiasma)を含有しており,これを人間が吸入して発病する.従って土壌を清潔に保つことが,コレラ予防の第一歩であると強調した.これはマラリアに関して,蚊が媒介するということが知られる以前に,ミアスマ説が唱えられたのとよく似ている.
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