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松本市外淺間温泉に發生した腸チフスの爆發的流行
著者: 小島三郞1 福見秀雄1 山本繁夫1 草間秀夫1 加藤英市2 石丸隆治2
所属機関: 1豫防衞生研究所第二細菌部 2厚生省研究所課及び防疫課
ページ範囲:P.386 - P.392
文献購入ページに移動昭和23年6月の下旬から,長野縣淺間温泉に熱性疾患が發生し,漸次數を増して集團發生の相貌を呈して來たが,なおその病名については確たる決定はなされず,種々の流言も亂れ飛んで,奇病説も出る状況であつた。丁度このような状勢にあるとき,6月30日に某旅館業者の家族がやはり同様の發熱を主徴として發病した。7月1日某開業醫の往診の結果は腸チフスの疑い濃厚であつて,翌々日の7月3日松本市の松本病院に收容され,7月5日この患者の血液から腸チフス菌が證明された。
かくしてこゝにこの熱性疾患の集團發生は腸チフスと決定されたのであるが,この時には患者數は既に100名を突破し,事態は既に慘憺たる状態に立ち到つていたのである。この間傳染病研究所に於ても武田教授を主班とする調査團が出張して,病原決定に多大の活躍をされたことを承つている。
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