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日本列島
結核の新施策
著者: 井口恒男1
所属機関: 1岐阜県衛生環境部
ページ範囲:P.653 - P.653
文献購入ページに移動第37回結核予防全国大会が5月,岐阜市で開催された.討議の中から,最近の結核問題やその対策について紹介したい.
結核は今なお1年間に6万人の新患者が発生し,5,000人近くが死亡しており,わが国最大の伝染病といわれている.死亡では30年以上前の主要死因であった頃と比べ,現在の死亡率は死因第1位のがんとは大きな差がみられ,肺がん死亡の5分の1近くとなっている.しかし,2万3千人の感染性患者を含む新患者の発生,死亡率,登録率,罹患率などの最近の横ばい状況,集団感染や集団発生例の存在など,未だ古くて新しい問題もみられる.第一分科会での主題は「最近の結核疫学像をめぐって」であったが,地域,年齢,職業での患者の偏在化や学校,職場等での集団感染の増加,北海道での集団発生例,低肺機能患者の増加などが紹介された.かつて西高東低といわれ,西日本が結核の諸指標が高い傾向にあることは今でも変わりないようだが,島根をはじめ数県においては向上がみられ,関係者の努力による成果ともみられている.開催地である岐阜県も,諸指標が全国でもワーストの部類に入っており,今回の大会に併せ新聞にも報道されたが,県民へのアピールのよい機会となった.第二分科会は女工哀史の時代から,結核との苦闘の時代をフィルムや寸劇などで紹介,さらに今なお結核に苦しむ開発途上国に対する日本の役割が論議された.
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