icon fsr

文献詳細

雑誌文献

公衆衛生50巻11号

1986年11月発行

文献概要

特集 地域保健医療のすすめ方

地域保健医療と医学教育

著者: 前沢政次1 長嶺敬彦1

所属機関: 1自治医科大学地域医療学教室

ページ範囲:P.736 - P.740

文献購入ページに移動
■はじめに
 臨床医学の進歩は,臨床各科の専門細分化を助長し,人間を家庭や地域の一員として,全人的にアプローチすることを困難にした.一方,公衆衛生学的アプローチは地域社会をマスとしてとらえ,様々な試み(集団健診など)を行ってきたが,住民への個別的生活指導は,必ずしも十分とは言い難く,また予防から治療への継続性が保たれにくい面もあった.地域に密着した,予防からリハビリテーションまでの包括的医療の必要性が強く叫ばれるゆえんである.したがって地域保健医療の質の向上のためには,保健活動と医療との連携を重視することと同時に,従来の専門細分化した臨床医学や個別性・継続性に乏しい公衆衛生学的アプローチとは異なった,新しいアプローチも必要である1)(図).すなわち臨床的アプローチとしては,人間の臓器のみをみることではなく,身体的・精神的・社会的存在としての人間をみ,かつその家族やその人の住む地域社会にまで気配りをし,かつ予防・健康増進のための指導まで含めた医療でなければならない.この地域医療を担う医師は,第一線医療の担当者としての臨床的能力と共に,診療対象である地域社会全体の問題を考え,社会医学的アプローチ,予防医学的アプローチを駆使する能力を有することが必要であろう.このような新しいタイプの医師養成には,当然新しい医学教育が求められる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら