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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生50巻12号

1986年12月発行

特集 家族

地域保健活動と家族

著者: 華表宏有1

所属機関: 1産業医科大学公衆衛生学教室

ページ範囲:P.790 - P.795

文献概要

■はじめに
 現代のわが国は世界一の長寿国となり,国民一人ひとりの人生80年型の生活のあり方が,さまざまな角度から議論の対象とされている.わが国が急速な勢いで突入しつつある「高齢化社会」での生存の条件とその対応策は,公衆衛生の領域で働いている者にとっても,大きな関心事であることはいうまでもない.
 本誌では1973年4月号に,今回と同じテーマ(家族)で特集をしているが,当時はそれほど顕在化していなかった家族をめぐる諸問題について,13年後の現在では,研究者のみならず一般大衆やマスコミの目が一斉に向けられるようになった.確かに社会の様相が少しずつ変化してきていることを実感しないではいられない.その主たる点を列挙してみると,離婚率の漸増に象徴される,家庭の崩壊現象が少しずつ広がってきていることがまず第一に挙げられる.このほか寿命の延長と核家族化の促進による単身老人世帯の増加,そして痴呆性老人の介護の問題.中年期の単身赴任による本人とその家族に与える心身両面での健康問題や,うつ病と自殺の増加.小・中学校でのいじめの増加と,それを助長しているといわれている家庭での両親の教育の姿勢等も,見逃すことのできない今日的な社会問題である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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