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特集 家族
公衆衛生における家族療法的アプローチ
著者: リンダ・ベル1 福山和女2 阪上裕子3
所属機関: 1国立精神衛生研究所 2日本社会事業大学 3国立公衆衛生院
ページ範囲:P.823 - P.828
文献購入ページに移動家族療法は,教育現場および心理・精神療法の分野において,最近とくに注目を浴びてきた興味深い療法である.家族療法は,家族のなかの各個人の相互の関わりを認識することを基本としている.家族とはひとつの組織だったシステムであり,各家族メンバーは,それぞれ独自の感情・思考・行動をもっている.それが,他の家族員との関係のなかでさらに複雑になり,補完的な方法で関わりあっている.どの家族メンバーの行動も他の家族メンバーに影響をおよぼし,そしてそれが順に他の家族メンバーの反応をひきだす.このように,家族メンバーはそれぞれ循環的に影響しあっている.
家族メンバーの性格と,相互作用・交流が家族パターンをつくりあげる.ある個人を理解するにはその人の家族パターンを理解する必要がある.その人がその家族にどのように適合し,またその人の性格や行動あるいは症状や問題となっていることが,その家族のパターンのなかでどのように機能しているかを見るのである.症状・問題は,家族パターンに対するその人の反応であると同時に,家族パターンを維持するための手段ともいえる.
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