文献詳細
文献概要
ぷりずむ
近頃気になること
著者: 関矢敦子1
所属機関: 1北海道岩見沢保健所
ページ範囲:P.427 - P.427
文献購入ページに移動5人目の子供の出産を終えた40代はじめの主婦が脳の病に冒され植物人間の状態になった.当時,木の伐採などの日雇いの仕事をしていた夫は,その後妻の看護に専念する生活に入り,中学三年生の長男をはじめ5人の子供達は,施設など他人の手によって養育されることになった.病状が固定してから3,4年くらいして,マスコミがこれを美談として取り上げ,例えば某週刊誌は《眠れる妻を見つめて「妻よ明日も生きてくれ!」看護日誌に綴る夫△△さん(50歳)の愛と願い》という記事を掲載した.以来,病院や養護施設の方々,親戚の方などが愛妻美談の陰の立て役者になったという,親戚の一人は「△△はマスコミに持ち上げられて悦に入り,陰で泣いとる子供達を無視してしもうたんや」という.今はもう両親とも失った長男(35歳)は「もう過去は振りかえりたくない.すべては終ったことです」と語っているという.
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