icon fsr

文献詳細

雑誌文献

公衆衛生50巻7号

1986年07月発行

文献概要

発言あり

アスレチック

著者: 生田恵子1 大塚知雄2 加納克己3 久常節子4 渡部正5

所属機関: 1東京都衛生局母子保健センター開設準備室 2神奈川県医師会 3筑波大学社会医学系 4国立公衆衛生院衛生看護学部 5神奈川県立栄養短期大学

ページ範囲:P.433 - P.435

文献購入ページに移動
近代文明社会への警告
 周知のように,わが国の平均寿命は現在世界最長,乳児死亡率は世界最低であり,これらの指標でみる限り,わが国は「健康大国」と称することができよう.しかし,有病率は以前と比べ高くなり,病院に行くほどではないがなんとなくからだの調子が悪いと,半健康を意識する人たちは結構多い.その背景は様々な角度から考察できるが,その一つに"運動不足"があげられよう.都会の人たち,とりわけ中高年齢層の働き盛りの人たちの中に運動不足のために体力的な充実感がなく,十分に健康でないと意識する人が意外と多い.これらの人たちにとって健康な状態は,ただ単に病気がないということだけでなく,生き生きとし,体力的にも充実し,何事にも積極的に取り組めることをいっている,我々の住む文明社会は生活が豊かになり,便利になった反面,からだを動かす機会を著しく少なくしてしまった.例えば,マンションやデパートなどにおいても数階のぼるのに当然のようにエレベーターを使ったりするし,すぐ近くに出かけるにも,車を使ったりする.その結果,筋力が衰え,休力も低下してしまったといえる.ヒトは狩猟時代までさかのぼらなくてもごく最近まで,文明諸国においてすら生きていくために,あるいは生活をするために,からだを動かさなければならなかった.社会が文明化され,都市化が続く限り,運動不足状態は必然的に増加し,その不足を様々の方法で積極的に補おうとするであろう.それは無意識のうちの本能的な動物としてのヒトへの回帰でもある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら