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衛生公衆衛生学史こぼれ話
28.女王陛下の疎開
著者: 北博正1
所属機関: 1東京都環境科学研究所
ページ範囲:P.458 - P.458
文献購入ページに移動しかしそれ以前にも英国では大気汚染があり,被害も大きかった.これは暖房の熱源に薪を使っていたものが,段々と資源が枯渇して値上がりし,代わりに石炭を使いはじめたが,この地方は冬に霧が発生するという特有な気象条件と重なって,いわゆるロンドン・スモッグという名物にまでなったのである.時の女王エリザベスI世(1558〜1603)が煤煙で喘息発作が起こるというので,ウエストミンスターの醸造業者が石炭の代わりに薪を燃料とするよう協定したり,女王がロンドンからノッチンガムに疎開するという騒ぎまで起こった.
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