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発言あり
健康・自然食品
著者: 加納克己 久常節子 大塚知雄 渡部正 生田恵子
所属機関:
ページ範囲:P.501 - P.503
文献購入ページに移動近代科学は新しい化学物質を次から次へと作り出し,その数はいまや数千に及ぶという.これらの多くは,我々の生活を豊かにしてくれた反面,健康にとっては危険で有害な場合もある.我々が日常口にする食料品にも,無数の人工的化学物質が使用されている.食料品売場には,自然食品や健康食品がよく目につき,これ以外のものはまるで人体に有害であるかのような印象さえ受ける.このような食品がよく売れる背景には「病気にかかりたくない」,「より健康になりたい」という健康指向が強く働いていると思われる.しかし,皮肉なことに,わが国の平均寿命が世界で第1位になるまでに伸びたのは,ひとつには有機農業による健康食品や無添加の自然食品をとったからではなく,むしろその逆であったのではないだろうか.もし,農薬を使わない有機農業や無添加の健康食品や自然食品であればコストは高くなり,非衛生的であったかもしれず,かくも人口の多いわが国の人々を健康な国民として養うこともできず,工業国への脱皮も遅れ,今日のような経済大国を謳歌することもできなかったのではないだろうか.
現在,わが国の死因の第1位は癌である.先進文明国はいずれも癌が主要死因であり,文明病と呼ぶこともできる.しかし,アメリカのGroi博士らは癌の25〜75%は予防可能であるという.人口的化学物質の中には発癌性のものも少なくない,
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