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特集 へき地・離島の保健・医療
へき地に対する包括的保健医療の試み
著者: 前田次郎1 大櫛陽一2 角田伝3 菊谷準3 嶋孝3 西本至4
所属機関: 1和歌山県立医科大学 2大阪府立羽曳野病院 3和歌山県医師会 4和歌山県衛生部
ページ範囲:P.522 - P.528
文献購入ページに移動和歌山県は紀伊半島の西南面に位置し,総面積の78%が山岳部であり,500m以上の山岳地帯が海岸線にせまり,延々500kmにも及ぶリアス式海岸を形成している.従って交通網は長くなり極めて不便で,数km山岳に入ると山村は孤立し,長い間に人口移動が起こり,山村地域の人口が激減し過疎化して,医師もいなくなり,無医地区となっている.このような地域は本県には71ヵ所もあり,指定無医区である.このような地域の人口は2万人足らずで,全人口の約1.4%に過ぎない.しかし,その面積は図1に示すように,極めて広大である.また,このような地域は若者が流出して,住む人々は老人が主体となり,ますます保健医療上にも多くの問題が生じている.健康保険制度が確立している今日,なお,いわゆる"置薬"の需要がこのような地域では多いことからも,人々の病気に対する不安感を如実に物語っている.
これらの問題を解決するために,種々な施策が講じられてきたが,県医師会も地域医療の一環としてこの問題を捉えて,県衛生部,県立医大の協力のもと,へき地の包括的な医療システムを立案し実践している.ここに10年に及ぶへき地に対する取り組みの一端を紹介するとともに,へき地の人々の健康状態について若干の知見を得たので報告する.
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