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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生51巻10号

1987年10月発行

文献概要

衛生公衆衛生学史こぼれ話

43.エイズと梅毒(2)

著者: 北博正1

所属機関: 1東京都環境科学研究所

ページ範囲:P.735 - P.735

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 梅毒が太古からヨーロッパに存在したという説は認められず,現在,アメリカ伝来説が認められているが,1494年,フランスのシャルル8世(Charles Ⅷ,1483-1498)の軍隊がイタリアに侵入して以来,梅毒はナポリを起点として,ヨーロッパ全域に広がり,そのため梅毒はナポリ病といわれるほどであったが,その他にもフランス病,イスパニア病等等,輸出国の名称をつけたことは第一次世界大戦直後のインフルエンザ汎流行の際,わが国ではスペイン風邪,スペインではイタリア風邪と称したのとよく似ている.
 当時の梅毒は淋疾,軟性下疳,さらに癩も混合したもので,病名だけは愛の女神にちなんで,ビーナスの病(maladies vénérinnes,veverische Krankheiten)のような風流なものから,そのものズバリの快楽伝染病(Lustseuche)といわれ,わが国の花柳病(花は紅,柳は緑)と同じような発想であるが,まさにシシ食った報いで,ひどい目にあうことになる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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