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特集 水と空気
大気汚染による生体影響について—動物実験の意義
著者: 村上正孝1
所属機関: 1国立公害研究所
ページ範囲:P.392 - P.396
文献購入ページに移動われわれが日常,吸っている空気によって病気にかからないだろうか.大きなトラックの後方から吐き出される黒い排気ガスを見て,思わず口を手でおおいたくなる経験を持たない人はいないであろう.1960年から1970年代の前半にかけて,公害問題を体験したわれわれにとって,交通量の多い沿道地域に住む住民の健康問題は,公衆衛生上きわめて重要な課題である.かつてのSO2とばい塵からなる,黒い煙による大気汚染と呼吸器疾患の因果関係は,疫学・臨床医学研究そして動物実験の成果によって確認され,環境基準が設定された.その結果,大気環境保全対策に一定の成果がもたらされた.
しかし,今日,問題とされる大気汚染は,光化学スモッグに代表される窒素酸化物,オキシダントおよび浮遊粒子状物質(SPM)を中心とした物質からなり,工場よりも自動車等の移動発生源が主要な汚染源となっている.
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