icon fsr

文献詳細

雑誌文献

公衆衛生51巻7号

1987年07月発行

文献概要

発言あり

エイズ

著者: 揚松龍治 佐野正人 鈴木治子 田中平三 庭山正一郎

所属機関:

ページ範囲:P.433 - P.435

文献購入ページに移動
当面する三つの課題
 日本のエイズは,感染の仕方も性風俗も欧米とは異なるから,それほど心配する必要はないという人もいたが,病気に素人のわれわれには,やはり気にかかることである.なぜならば,これまで欧米その他で起こった社会病理現象が,時をズラして日本に登場してきていたからである.エイズとて例外でありうるはずがない.
 経済優先の世の流れが,業績,能力主義に傾き,庶民の暮らしは年ごとに生きにくさを増している.いま家庭崩壊や退廃などの社会的ひずみは,こどもたちにしわよせされており,その様相は深刻である.そして必の渇きをもつこどもたちのたどりつく先に性の問題がある.貧困,麻薬,売春の黒い淵に落ちこまぬうちに,こどもたちに対して具体的な教育を,公衆衛生の側からも早急に手をさしのべる必要がある.1人の人間の連続的な成長発達に対する援助は,現実には地域保健と学校保健とのつながりがないままに打ち過ぎてきた.次の世代の生命と人権を守るうえからもこどもたちの性に対する取り組みを,エイズの上陸をきっかけに,せめて今からでも考え直す必要があるのではないだろうか.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら