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雑誌目次

雑誌文献

公衆衛生52巻10号

1988年10月発行

雑誌目次

特集 公衆衛生とエイズ

公衆衛生とエイズ

著者: 山形操六

ページ範囲:P.650 - P.653

■はじめに
 エイズは1981年6月,米国で患者が確認されて以来すさまじい勢いで世界に蔓延し,1987年8月では世界で確認されているエイズ患者数が5万6千余人,1988年5月では9万6千余人(表1),さらに最近WHOの発表では,6月中に世界のエイズ患者は10万人を突破し,この6カ月間で2万5千人も急増していること,また,WHOの予測では,今後5年間に患者数は5倍になるであろうという報告をして,問題の深刻さと危機感を訴えている.そして,エイズ患者の1人平均治療費は生涯で5千〜8万ドル(米国)のほか,研究や教育の実施により間接的に必要とする経費は,治療費の3.5〜7倍にも達するであろうとしている.1991年には米国の治療に関する直接経費は85億ドル,研究等の間接経費は660億ドルにも達し,これは米国の全病床の12%(1986年では2.7%)を占めることになろうとも予測している.
 わが国においても,1985年3月,最初の患者が確認されて以後,1987年9月では50人,1988年5月では80人,うち46人死亡(表2)と発表されている.諸外国と比較してなお少数にとどまっているのは幸いであるが,最近の傾向として,女性の患者発生など,エイズの一般への感染が懸念される状況にある.

エイズ研究の動向

著者: 徳永徹

ページ範囲:P.654 - P.658

■はじめに
 エイズは,HIV(Human immunodeficiency virus)の感染により惹起される免疫不全を主徴とする疾患である.1981年米国で初めて報告されて以来,世界の多くの国々に急速に広がり,今日までWHOに届けられたエイズ患者数は10万人を突破し,HIV感染者は米国だけでも約150万人と見積もられている.エイズはいまや世界的にpandemicな状態になりつつあるといえるだろう.
 将来の予測については,HIVの潜伏期間が平均4〜6年,あるいはそれ以上であるのに,エイズの発見後いまだ7年を経たに過ぎないから,正確な判断は困難であるが,さらに著しく広がることは不可避であり,それによる死亡者が人口統計学に与える影響は大きな戦争に匹敵するといわれている.欧米諸国の経済的負担も膨大なものとなることは明らかである.

保健所とエイズ—神戸市兵庫保健所

著者: 黒澤はつみ

ページ範囲:P.659 - P.661

■はじめに
 神戸市は人口約140万人,面積545km2の国際港湾都市として発展してきた.市内には9区,9保健所1支所があり,その中でも"兵庫"は神戸市発祥の地であり,奈良時代以降,瀬戸内の交通の要所として栄えた歴史と伝統のある町である.地区人口現在約13万人,5万世帯,面積14km2で,北部は住宅地域,中部は商業地域,南部は工業地域といった特徴を持っている.
 昭和62年1月17日,厚生省エイズサーベイランス委員会は,神戸市に住む29歳の独身女性をエイズ患者として認定した.

保健所とエイズ—長野県松本保健所

著者: 樋代匡平

ページ範囲:P.662 - P.663

 降ってわいたような…という言葉がピッタリするようなエイズ騒ぎがあってから,もう2年の月日が流れようとしている.
 昭和61年10月29日,厚生省から長野県衛生部に「エイズ保有検査の結果,陽性者と判明した21歳のフィリピン女性が,松本保健所管内に居住していると思われるので,確認調査をされたい.」との依頼があり,当所へも通報があった.直ちに係官が調査に当たったが,指名の女性と接触を持てないまま,当人は帰国寸前,入国管理局に保護された.

エイズ相談—患者とキャリアに対する相談指導

著者: 根岸昌功

ページ範囲:P.664 - P.666

■はじめに
 日常の臨床の場で私たちは,エイズ患者やHIVの無症候性キャリア(以下キャリア)に対してのみならず,HIVの抗体検査を受けにくる人の相談にも応じている.それだけでなく,検査そのものを受けるかどうか決めかねている人々も相談してくる.どのグループの人々も,エイズそのものに対する恐怖のほかに,自分の社会的生命の危機をも感じているのが現状である.
 現在,この恐怖と危機感に対処するすべはなく,前者に対しては治療法の開発と心理的バックアップ,後者に対してはエイズについての啓発活動と,個人情報を尊重する社会的運動のみが取りうる手段であろう.

エイズ相談—血友病患者に対する相談指導

著者: 長尾大

ページ範囲:P.667 - P.669

■はじめに
 カウンセリングと教育は,エイズ対策上最も重要な位置を占めていると,エイズ先進国である欧米では言われている.カウンセリングの日本語訳は,相談あるいは指導相談が最も近いようである.臨床心理担当員,ソーシャルワーカー,MSW(医療社会事業員),保健婦,その他多くの方々がこの分野で働いておられる.しかしながら,エイズに関する専門的カウンセラーはわが国ではまだ育っていないのではないかと思われる.まして,血友病のHIV感染者に対する専門的カウンセラーは,これから鋭意育成されていくのではないか,カウンセリングについては素人に近い我々もそのために大いに努力しなくてはいけないのではないか,と思っている.本年8月には厚生省の努力により,WHOのエイズカウンセリングに関するワークショップが東京で開かれる.今回は,特に血友病を中心としたワークショップと聞いている.この会議の成果をもとに,わが国におけるカウンセリング事業が,大きく発展することを切望している.
 本稿では,血友病の包括医療と血友病におけるHIV感染症について概説し,第一線の公衆衛生従事者への参考になれば,と願っている.

エイズ相談—保健婦の立場から

著者: 小杉真紗人

ページ範囲:P.670 - P.672

■はじめに
 エイズは,1981年アメリカで発見された新しい病気で,根本的な治療法がないため致死率が高く,その対策としては,正しい知識をもち感染を防止する以外に方法がないのが実情である.わが国では昭和60年3月に初めて患者が確認された.その後昭和62年1月,神戸において初の女性エイズ患者が確認され,死亡したことから,全国的にエイズに対する社会的不安が高まった.
 このような状況のもとで,東京都では次のようなエイズ対策を講じた.

エイズ相談—エイズ・ノイローゼ

著者: 熊倉徹雄

ページ範囲:P.673 - P.676

■はじめに
 1981年,アメリカでの世界初のエイズ患者報告以降,エイズ患者は急速に世界に蔓延し,エイズに対する不安や恐怖に人々の心は恐れ,おののくようになった.幸い,わが国ではエイズ患者は少なく,エイズは外国人や同性愛者にのみ感染するもので,エイズ騒動は「対岸の火事」とみなされてきた.しかし,1987年1月の「初の日本女性エイズ患者死亡」の報道を契機に,わが国は一挙にエイズ・パニックに陥った.異性間性交,つまり通常のセックスで感染した風俗産業の女性エイズ患者発生のニュースにより,我々は「対岸の火事」の火の粉を我が身に浴びることになったのである.
 厚生省など関係諸機関は直ちにエイズ蔓延防止緊急体制をしき,東京都においても,急遽,エイズ相談窓口の開設,電話相談,抗体検査などを都立病院や保健所において取り組んだ.墨東病院でも1月22日からHIV抗体検査を実施したが,幸いにして抗体陽性者はいなかった.しかし,抗体陰性であるにもかかわらず,エイズに感染していると思い込み,深刻に悩む人が多いのが特徴的であった.そこで,感染症科のみで発足したエイズ相談業務に精神科医師も加わり,エイズ相談チーム(班長:今川八束感染症科部長)を結成し,これらの「エイズ・ノイローゼ」の人たちのカウンセリングや薬物療法を試みるようにした.

歪められた性革命

著者: 大島清

ページ範囲:P.677 - P.679

 85,000人を越した世界のエイズ患者を疫学的に分類すると,男性同性愛患者を主体とする欧米型,性比を1:1とするアフリカ型,それに,日本のように諸外国より遅発して,患者発生数の少ないアジア型の三型に分類することができるだろう.少ないといっても,増加速度は同じらしいから,日本もいずれはアメリカの轍を踏むかもしれない.それにしてもこの三型は,明らかに各領域の性文化を示すものとして興味深い.
 性文化もさることながら,エイズにさらされた人間のおろかしさは,差別意識の中にありありとにじみ出ている.それもまた,その国の文化に由来するのだろう.カースト制の強いインドで,インド医学研究評議会の会長が,最近外国人とのセックスを禁止すべきだと発言したという事実も,如実に人間のおろかしさを物語っている.外国人とセックスさえしなければ,我々は大丈夫だ,とするところに,性への無知がある.あのカーマスートラの大らかな心はどこへ飛び散っていったのだろう.外国人とのセックス禁止どころか「禁欲をもって尊し」とする風潮が見え隠れしている.性文化と差別意識,これが,本章で筆者が強調したい点だ.

活動レポート

姫路市医師会の活動

著者: 藤森春樹

ページ範囲:P.680 - P.684

●はじめに
 姫路市医師会は,兵庫県西部の中心にあって瀬戸内海に面し,国宝姫路城をもつ城下町として,商,工,農の混在する人口46万の姫路市と離島と過疎地を含む人口3万人の飾磨郡をテリトリーとしている.
 会員数は7月1日現在で,開業医のA会員353名(医療機関数は病院43,診療所308の計351),勤務医のB会員217名,診療に従事していないC会員2名の計572名である.

研究ノート

老人保健事業の行政科学的評価—山形県内市町村の保健事業ならびに地域住民組織活動の分析から

著者: 新井宏朋 ,   岩崎清 ,   阿彦忠之

ページ範囲:P.685 - P.688

●はじめに
 老人保健法が昭和58年に施行されて5年余りが経過し,医療以外の保健事業については昭和62年4月より,第2次5カ年計画が実施されている.老人保健事業推進のために,県・市町村においては,これまでの実績の評価をふまえ,地域特性に応じた新たな計画の策定が求められている.
 この計画策定の基礎となる保健事業に対する評価は,これまでに行政当局をはじめ,医師会等の専門職集団や公衆衛生研究者によって,いろいろと行われてきた.しかし,これらの多くのものが,保健事業の実施状況のみに関する検討で,しかもそのほとんどが各種保健事業を別々に評価しているものである1).保健事業を効果的に推進するためには,保健事業相互の連携をはかることが重要であり2),保健事業を個々に検討するだけでなく,各種保健事業をトータルシステムとして評価していくことが必要と思われる.

海外事情

オーストラリアの高齢者学習活動U3A(University of the Third Age)の紹介

著者: 山田信也

ページ範囲:P.692 - P.696

◆はじめに
 筆者は昨年秋,国際産業衛生学会に出席のためにオーストラリアのシドニーを訪れた際,引退した高齢者たちが,自身の生きがいを求め,互いに教師となって学習し合う新しい活動の存在を知った.それがこれから紹介しようとするオーストラリアU3A(University of the Third Age)である.
 オーストラリアU3Aの存在を知るきっかけを作ってくれたのは,名古屋市民政局高齢化対策部高年福祉課の安立良幸氏である.彼はこの細織の活動を新聞で知り,姉妹都市関係を持つオーストラリア・シドニー市の市役所に駐在している,名古屋市秘書室国際課職員の加藤三紀彦氏にあてて,この組織の調査を依頼する手紙を出していた.そこへ,たまたまオーストラリアの高齢者の人生活動の調査の協力を求めて筆者が立ち寄ったのである.

原著

別海町での小児の風疹感染状況—特に同胞との関係

著者: 中園直樹 ,   安田一平 ,   岩川良樹 ,   新野峰久 ,   千葉峻三 ,   近藤喜代太郎

ページ範囲:P.697 - P.703

●はじめに
 風疹は小児に好発する疾患である.最近まで,わが国では6年から10年ごとの比較的規則的な周期で全国的流行を繰り返してきた.患児の大部分は幼稚園児や小学生である.これは,幼稚園児や小学生を中心とした感受性集団が蓄積してくるとその集団に流行が発生し,その感受性集団の約半数が感染(顕性,不顕性)し免疫を獲得すると流行が終息する1)と考えられている.
 ところで,小児の流行や風疹罹患あるいは感受性には,(1)本人の年齢—これまでの風疹流行の経験回数と学制—,(2)本人の兄弟姉妹数とその年齢差—家庭内での濃厚頻回な風疹暴露と家庭内導入と伝播の可能性—,(3)地区の園児や学童数,(4)地域の人口密度2),などが宿主要因あるいは社会的要因として影響すると考えられる.しかし,これらの点を検討した報告は極めて少ない.仮に同じ年齢でも①通園児か否か,②何人兄弟姉妹の何番目か,③兄弟姉妹数や順位が同じでも,同胞に通園児や学童(低学年か高学年)がいるか,またどのような年齢や順序でいるかなどの家族環境条件の違いにより,(i)施設または家庭内での風疹の暴露の頻度や濃厚さ,(ii)家庭内導入そして家族内伝播に差が生じる可能性があると思われるが,これらについても検討が行われていない.

フォーラム

大阪府における保健所医師の研修体制

著者: 笹井康典 ,   坂井芳夫

ページ範囲:P.704 - P.708

◆はじめに
 大阪府の保健所は,政令指定都市である大阪市,堺市,東大阪市を除いて22保健所6支所設置されている.1保健所が管轄する人口は平均21万3千人で,最低8万人から最高43万5千人である.
 保健所の医師定数は72名(各保健所3名,各支所1名)であるが,現員数は47名(昭和62年7月1日現在)であり,その確保と定着対策は大きな行政課題となっている.

調査報告

イベントに出店する飲食提供仮設店舗での調理に伴う空気環境調査について

著者: 小川京子 ,   東弓夫 ,   青木誠 ,   関野和男 ,   田中恒機 ,   佐藤定夫 ,   牧野勝雄

ページ範囲:P.709 - P.713

 近年,都市の活性化をはかるため,各種イベントが活発に開催されるようになってきた.こうしたイベントにおいては,会場内での調理を伴った飲食提供行為が不可欠なものとなっているが,これらの行為は一度に多種多量の食品が調理されるにもかかわらず,短期間の営業ということから,臨時の狭い仮設店舗で行われる場合が多い.仮設店舗では調理場内の空気環境を考慮していることは少なく,調理場内は高温多湿となりやすい.従って原材料や食品の保管に悪影響を及ぼすなど食品衛生上の問題が発生する一方,不良な労働環境により調理従事者の健康が損なわれることも懸念される.悪条件下での作業は倦怠感,集中力低下などをきたし,作業効率の低下ばかりでなく,食品取扱いミスによる事故発生も考えられる.
 筆者らは増加するイベントにおける飲食仮設店舗の,施設面での指導の資料とするため,調理場内の空気環境を調査したので報告する.

発言あり 国際保健協力

老・壮・若セット方式の提言,他

著者: 伊藤利根太郎

ページ範囲:P.647 - P.649

 国際保健協力という事業は,わずかの例外を除いて,どれも息の長い仕事になると考えねばならない.特殊な設備・機器を供与して,その使用法の技術移転をすればそれで十分というような場合はごく稀で,相手国の人材を十分に養い育てていかねばならないのであるから,長期間を必要とするのは当然である.
 私の恩師谷口腆二先生が,「一年の計は米を植うるにあり.十年の計は木を植うるにあり.百年の計は人を養うにあり」といわれたように,マンパワーの育成なくしては国際保健協力の成果は期待できないであろう,私は今年の3月まで大学に所属していたので,文部教官としての経験から発言してみたいと思う.

公衆衛生人国記

岡山県—行政と学問,そして中央と地方;県民性の課題

著者: 青山英康

ページ範囲:P.689 - P.691

岡山の風土と公衆衛生活動
 岡山県の公衆衛生活動については,愛育委員会に代表される地区衛生組織活動の活発な活動とか,小児保健上の衛生統計における三冠王など輝かしい業績は数多い.
 温暖な気候に恵まれ,南部に広がる広い平野,地震や台風の災害もなく,降雨量が少ないにもかかわらず三大河川の治水によって水害がなく,豊富な農業用水によって良質米やマスカットとか白桃など,果実を中心とする園芸品の種類も数多い.瀬戸内海の海の幸と北部の県境につながる中国山脈の山の幸にも恵まれている.

保健行政スコープ

プライマリ・ケア推進の方向

著者: 中島正治

ページ範囲:P.716 - P.717

 近年,いろいろなところでプライマリ・ケアという言葉が使われるが,プライマリ・ケアの定義は必ずしも一様ではない.いわゆる第一次の医療機関において提供される医療という意味で使われる場合,専門医も含めたすべての医師がわきまえておくべき基本的な医療という意味で使われる場合,更に,発展途上国など医療の未整備な地域において整備すべき保健・医療という意味で使われる場合などがある.
 ここでは,わが国の医療の現状に焦点を絞って,その中での一次医療,基本となる医療というやや幅広い意味でプライマリ・ケアをとらえることとして,その推進について述べることにする.

衛生公衆衛生学史こぼれ話

53.シラミと発疹チフス

著者: 北博正

ページ範囲:P.715 - P.715

 第二次世界大戦の末期に南イタリアに上陸した連合軍(主として米軍)は,退却するドイツ軍を追って北上し,多数の補虜を収容したが,彼らの被服は垢と泥にまみれ,不潔きわまるものであったに拘わらず,このような非衛生状況につきもののシラミを持っている者が極めて少ないことに米軍側は気付き,さっそく専門家が調べた結果,つぎのことが明らかになった.即ち彼らの下着にはシラミを殺滅する薬物がしみこませてあること,さらにその物質がDDT(Dichloro-diphenyl-trichloroethan)であることをつきとめた.
 この物質は1874年O.Zeidlerによりはじめて合成され,1938年P.Müllerにより殺虫作用が認められ,Müllerはこの業績により1948年ノーベル医学・生理学賞を受賞した.

日本列島

高齢化社会での健康対策—岐阜

著者: 井口恒男

ページ範囲:P.661 - P.661

 わが国は他の諸外国においてもかつて例をみないような速さで高齢化しつつあるが,その対策は後追いになりがちの状況にあり,諸施策の的確な対応が緊急の課題となっている.高齢化への対応は保健医療や福祉のみでなく,社会経済面全般にわたるものであり,衣食住の生活をはじめ,道路や交通手段その他社会環境の整備,年金や所得,余暇と生き甲斐や社会参加など,総合的な取り組みが必要であろう.
 毎年開催されている東海公衆衛生学会の昭和63年度の会は,6月18日岐阜大学医学部で開かれた(学会長:岐阜大学医学部岩田弘敏教授).当学会では一般演題の他に高齢化社会での健康対策に焦点をおき,講演とシンポジウムが行われた.

一般診査における精密診査希望者の指導区分—仙台市

著者: 土屋眞

ページ範囲:P.703 - P.703

 いうまでもなく,一般健康診査では一般診査項目の診査後,医師が必要と認めた者に心電図等の精密診査を行う二段階方式になっている.一般診査項目は年々充実されてきたが,昭和58年頃は問診・身体計測・理学的検査(視・打・聴・触診など)・血圧測定・検尿(蛋白・糖・潜血)の5項目であった.今では総コレステロールと肝機能検査(GOT・GPT)が精密診査項目から一般診査項目に移り,強化されたことは何よりである.
 一方,基本健康診査として初めから全項目診査をしてよいことになり,仙台市でも昭和62年度からこの方式をとり入れている.しかし,さる63年3月に当市と合併した旧泉市(現泉地区)では,今年度だけは一般健康診査方式で健診が行われるように,市町村により方式が異なっている.

基本情報

公衆衛生

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1170

印刷版ISSN 0368-5187

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