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視力障害および失明の予防—タイ国の事情
著者: 兵井伸行1
所属機関: 1国立公衆衛生院衛生人口学部
ページ範囲:P.846 - P.850
文献購入ページに移動視力障害や失明の問題は,これまで保健医療分野であまり認識されて来なかったが,公衆衛生上重要かつ大きな課題である.世界保健機関(WHO)の1978年の推計(表1)によると,今日世界には矯正視力0.1以下を失明の定義とした場合,約4,200万人の失明者がいると考えられ,そのほとんどがいわゆる発展途上国に暮らしている.また,この失明者の数は今後発展途上国を中心とした人口増加および人口の高齢化により,西暦2000年までに倍になると予想されている.
これら発展途上国における失明率は,先進工業国に比べ10倍から40倍の高さである1).そしてこのような失明のおよそ3分の2が既存の技術や利用可能な方策によって,治癒可能あるいは潜在的に予防可能であるとされる.つまり多くの失明は,避け得る失明なのである.従って,失明予防は,特に発展途上国において公衆衛生上の重要な関心事となってきている.
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