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調査報告
老人自殺多発地域の老人意識とその社会的背景
著者: 岡本直幸12 亀家朗介3 古曽志恵洪4 中山英明5
所属機関: 1神奈川県立がんセンター臨床研究所疫学 2前鳥取大学医学部衛生学 3島根県環境保健部公衆衛生課 4島根いのちの電話 5鳥取大学医学部衛生学
ページ範囲:P.855 - P.859
文献購入ページに移動わが国の自殺による死亡の特徴として,(1)老人の自殺率が高いこと,(2)近年の中高年者の自殺率の急増,そして(3)過疎県と称される岩手,秋田,新潟,島根,高知,宮崎などの特定の県が毎年上位を占めていることから,明らかな地域差の存在をあげることができる1).そのため,自殺死亡の疫学的要因解析として,都道府県単位の社会・経済因子や県民性のデータを用いた自殺の要因解析が行われ,いくつかの関連要因が抽出されており2,3),とくに老人の自殺に関しては,"rural residence(地方居住)" の要因が指摘されている4).また,老人自殺の高率な地方においても,市部より郡部の方が高いことが報告されている4〜7).
筆者らはこれらの点に注目し,老人自殺の疫学的要因把握と自殺予防の方途を探るための基礎資料確保を目的として,近年の自殺率が毎年第1位を示している島根県において,老人自殺率の高い郡部と全国レベルの市部とにおいて,生活,医療,住民性に関する意識調査を実施し,両地域の老人意識の相違について検討を加えた.また,島根県と同じ山陰地方に属し自殺率は全国値とほとんど変わらない値を示している鳥取県の市部,郡部においても同様の調査を行い,両者の相違についても検討を加えたので報告する.
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