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産業医学における神経および心理・行動機能評価〔1〕—末梢神経機能(1)—神経伝導速度と伝導速度分布
著者: 荒記俊一1 村田勝敬1 横山和仁2
所属機関: 1東京大学医学部公衆衛生学教室 2大分医科大学公衆・衛生医学
ページ範囲:P.191 - P.194
文献購入ページに移動最近,技術革新の進行に伴い医用電子機器とこれを用いた電気生理学的測定技術が,急速なスピードで進歩している.日本の神経生理学(主に電気生理学)は長年世界の先端を走って来た.これに対し,公衆衛生学とくに産業医学領域での神経生理学的解析法の応用は,必ずしも十分であるとはいえない.
21世紀には,神経・精神障害が医学研究上の最重要課題の一つになるとの将来予測がある.公衆衛生学領域でも今後広範囲の神経,精神,行動障害の早期発見と予後管理,リハビリテーション等がますます重要になるであろう.しかし現在のところ,このための基本的な方法論が十分確立しているとはいえない状況にある.そこで本講座では,主に産業医学領域でこれまでに我々が使用して来た最新の神経生理および生化学的方法と心理・行動学的解析法を中心に,これらの方法がヒトの微小な神経・精神・行動障害の解析にどの程度有用であるか,現時点までの研究成果をできるだけ簡潔に整理要約する.初回の本稿では,末梢神経機能の評価のために最も鋭敏で再現性の高い方法と考えられている神経伝導速度と,ヒトにおける測定技術が確立してまだ日が浅いコンピューターを用いた伝導速度分布(神経束中の個々の神経伝導速度の相対的割合)の解析結果を紹介する.
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