icon fsr

雑誌目次

雑誌文献

公衆衛生52巻5号

1988年05月発行

雑誌目次

特集 公衆衛生の新しい展開と団体活動

団体の基本理念と組織特性

著者: 小野寺伸夫

ページ範囲:P.294 - P.299

■はじめに
 国民の健康を守り育てる多様な団体が,住民と行政の間に組織され,それぞれ固有な機能を持ちながら活躍している.
 健康政策の発展について国民的合意と民間活力の充実が期待される現代社会において,各種団体の基本理念と組織特性の検討は,政策科学の体系においても重要な位置を占めつつあり,将来へ向かう基本課題の一つである.

日本公衆衛生協会

著者: 山本宜正

ページ範囲:P.300 - P.302

■大日本私立衛生会
 今日の財団法人日本公衆衛生協会の沿革をたどると,今から百年余りを溯らなければならない.明治維新の大改革のあと,近代的衛生行政が芽を吹き出したのは,明治5年2月に文部省に医務課が置かれ,翌6年には医務局に昇格,ついで同7年8月にわが国の衛生制度のはじまりともいうべき医制が発布され,翌8年には衛生局が内務省に移されたころからである.
 さて,明治の初頭にはコレラの流行が大きい社会問題であり,時の政府は防疫に努めたが,成功をおさめることができなかった.明治12年に中央および地方衛生会(行政委員会的な性格であった)が設けられ,府県には衛生課を,町村に衛生委員制度が設けられるなど,衛生行政の体制の整備が行われた.さらに,同14年ごろから,同志が相語らい「全国同志者の協力をもって衛生の法を民間に普及する機関に供する」目的で,大日本私立衛生会を創設することを計画し,16年にはその気運もようやく高まって,主唱者らによる準備が進められ,同年2月18日に正式決定をみて公にされ,同じく5月27日に当時の京橋区木挽町(現中央区歌舞伎座の近く)において設立総会が開催され,全国から1,500人余が参加した.

日本循環器管理研究協議会

著者: 小町喜男

ページ範囲:P.303 - P.305

■設立までのいきさつ
 昭和30年代後半は,日本の公衆衛生関係者や,臨床医学の関係者に成人病,とくに循環器疾患に対する関心が極めて強く持たれた時期である.戦後の混乱期からの脱却,結核など感染性疾患の死亡率の減少といった従来の公衆衛生対策がようやく一息つける段階になり,改めて周囲を見回すと,脳卒中をはじめとする成人病の罹患率や死亡率の高いことがひしひしと実感されるようになった.この表現をどのようにしようかと随分迷ったが,この「ひしひし」としか表現しようがないほど,当時の脳卒中の重圧は強かった.
 農村は勿論,都市でも,脳卒中はごく普通にみられる疾患であり,高血圧の人の終着点として,避けられぬ宿命のように考えられていた.また,現在にみられるような老人病ではなく,都市でも50歳,60歳代で多発し,農村ではこれよりも10年早く多発する傾向があった.つまり,日本人の脳卒中は,働き盛りの年代の人々を直撃するという恐ろしさをもっていた.

宮城県対がん協会

著者: 菅原伸之

ページ範囲:P.306 - P.309

■はじめに
 がん征圧運動の拠点となるべく宮城県対がん協会が昭和33年9月に設立されて,今年で30年を迎える.
 その設立主旨は,わが国におけるがん死亡の半数を占める胃がんと子宮頸がんを制圧することにあるとし,当時の治療成績からみて早期発見と早期治療すなわち二次予防対策の推進を最重点事業に掲げ,公益事業としての民間の予防医療機関として創始された.そして,創立2年後の昭和35年には,わが国で最初の胃検診用X線間接狙撃撮影装置を開発し,車両に搭載した検診車を創製し,胃集団検診の実用化を全国に先駆けて実施した検診機関でもある.

愛知県健康づくり振興事業団

著者: 長与健夫

ページ範囲:P.310 - P.313

■設立までの経過
 わが国は世界一の長寿国となり,また同時に他の国に例のない速さで高齢化が進んでいる.人々の意識も,いかに長生きをするかということから,いかに健やかに老いるかというふうに変化してきた.健康のとらえ方も,従来のようにただ単に無病息災だけを健康としてとらえるのではなく,医師の管理下においての一病息災も健康であるというように考えていくことが大切になってきた.今後,新しい健康観に立って,すべての人々が自発的な健康づくりを進めていくことが重要で,より科学的,総合的な健康づくりの支援システムをつくることが必要になってきた.
 これに基づき愛知県では,健康の実現は県民一人ひとりの努力とともに,行政の健康づくりの支援が必要不可欠で,健康づくり対策は高齢化時代における行政の最重要課題であり,「活力ある愛知県」の基盤づくりでもあると考えた.

小樽市医師会

著者: 小樽市医師会広報部

ページ範囲:P.314 - P.316

■小樽市の沿革と概要
 小樽市は,北海道開拓の歴史のなかで海運・鉄道輸送の先駆的な拠点として開かれ,海陸流通の要として北海道の発展に大きく貢献しつつ,北海道を代表する経済都市として繁栄した.その後,鉄道網の発展や内陸都市の興隆,さらに戦後の著しい経済・社会情勢の変化により,市勢の停滞を余儀なくされた.
 このような時代の変遷のなかにあって,先人の進取の気性と不屈の精神を受け継いだ市民は,その英知と努力により営々として生きがいと誇りを持てる郷土小樽を築きあげ,新日本海時代を迎え関西,中京,関越と小樽を結ぶ大型フェリーの就航などの産業開発,そして歴史と伝統の情感あふれる古い街並み観光など,明日の小樽を目指し,住みよい人情あふれる街として静かに発展している,人口約17万人の中都市である.

鯖江市愛育会

著者: 堀うた子

ページ範囲:P.317 - P.319

■はじめに
 まず,鯖江市の産業について簡単に述べると,当地区の特性として挙げられることは,地場産業に恵まれていることである.
 (1)日本の生産量の90%を占める眼鏡,フレーム産業,(2)県の基幹産業である繊維産業,(3)1400年の伝統を持つ越前漆器がある.

八尾市老人クラブ連合会

著者: 高山佳洋

ページ範囲:P.320 - P.323

■はじめに
 人生80年時代の今日,公衆衛生活動の原点が,かつての社会防衛から健康づくりへと変遷しつつある中で,団体活動の果たす役割の重要性はますます大きくなっていると言っても過言ではない.
 昭和61年6月に示された長寿社会対策大綱においても,基本方針のなかで「社会参加活動等を通じた地域の相互扶助機能の活性化」を図ることがうたわれており,21世紀の長寿社会に向けて,地域における団体活動にかける期待の大きいことを示している.

摂津市在宅栄養士会

著者: 寺尾敦史

ページ範囲:P.324 - P.326

■はじめに
 老人保健法の施行に伴い各市町村自治体は,積極的に保健事業に取り組むことが求められている.各種事業の実施に際して,有能な人材を集めることは必須の条件である.ことに保健事業においては,保健医療の専門的知識・技術を必要とする活動がその中に多く含まれ,事業の実施にはそれらの知識・技術を持った者の協力を求める必要がある.例えば,今後ますます必要度が増すと考えられる健康教育の中で,一つ栄養指導を取り上げた場合,この専門家の役割を果たすのは栄養士であろう.だが,現在,その担い手である栄養士を,市町村自治体が十分確保することは難しい情勢にある.
 一方,栄養士は,資格を持っている者の数に比べてその職場は少なく,一旦離職などすると,たとえその意志はあろうとも,資格を生かすことは難しいという現況にある.

日本キリスト教海外医療協力会

著者: 中村健一

ページ範囲:P.327 - P.329

■日本キリスト教海外医療協力会の特徴
 社団法人日本キリスト教海外医療協力会(The Japan Overseas Christian Medical Cooperative Service,以下JOCSと略記)については,すでに本誌でも何回か紹介されているが1,2),その特徴として次のような点が挙げられよう.
 1)海外医療協力を目的として設立された民間団体としては最も古い歴史を有すること(創立1960年,法人認可1962年).
 2)その名が示すようにキリスト教主義の団体であり,役員,職員,派遣著はすべてキリスト者であること.
 3)にもかかわらず,社団法人として現在8,000人に近い会員をはじめ,「使用済み切手運動」協力者など宗教の壁を越えた広い範囲の人々によって支えられ,政府や大企業からの補助は原則として受けていないこと.
 4)創立当初から,医療従事者の派遣と研修生の招聘という「人の交流による相手国の自主的な保健医療水準向上への協力」の姿勢を貫いてきたこと.
 5)開発途上国の中でもとくに恵まれない人々の健康・福祉の向上を図ることを主目的としていること.

対談・連載

公衆衛生の軌跡とベクトル(7)—1980年代に入って

著者: 橋本正己 ,   大谷藤郎

ページ範囲:P.330 - P.336

第二臨調と老人保健法の成立
 大谷 1980年代に入って第一にあげられるのは,鈴木総理の時代の第2次臨時行政制度調査会の進行でしょう.これはオイルショック以降の税収の減少を国債の発行で穴埋めしてきたツケを,政府の財政支出の縮小によって切り抜けようということで始まったわけです.
 国鉄の民営化に始まり,医療間題についても,「医療費の適正化」という表現で医療費抑制策が大きな柱となりました,この過程で老人保健法が昭和57年に成立しますが,この中の一つの大きい柱であるヘルス事業,これは昭和50年の厚生省の高木事務次官のプロジェクトが老人医療費を審議する中でヘルス事業を入れようという考えに端を発したものです.

トピックス

精神保健法について

著者: 渡嘉敷暁

ページ範囲:P.343 - P.347

■はじめに
 「精神衛生法等の一部を改正する法律案」は,62年3月13日に閣議決定された.直ちに国会に提出されたが継続審議となり,62年9月第109回国会において一部修正され付帯決議つきで可決成立し,9月26日「精神保健法」と名称も変わり公布された.精神保健法(以下,新法と略)は,現在のところ,63年7月1日施行予定となっている.
 法改正により厚生大臣が公衆衛生審議会の意見を聴いて定める事項については,62年12月18日に答申(以下,答申と略)されたが,政省令については,本稿を書いている現在は公表されていないが,新法が精神衛生法(以下,旧法と略)と異なる点を中心に,答申も参考にして述べる.

講座

産業医学における神経および心理・行動機能評価〔2〕—末梢神経機能(2)—軸索輸送

著者: 横山和仁 ,   荒記俊一

ページ範囲:P.337 - P.342

■はじめに
 神経細胞の軸索内では,ミトコンドリア,微小管,ニューロフィラメント,アクチン,小胞体,神経伝達物質およびその関連酵素などが輸送されている(図1).この輸送を軸索輸送(Axonaltransport)***と呼ぶ.軸索輸送には,細胞体から軸索終末に向かう順行性の遅い輸送,中間速の輸送および速い輸送と,逆に向かう逆行性輸送がある(表1).遅い軸索輸送成分をさらに相対的に遅いSlow component a(主として微小管およびニューロフィラメントの構成蛋白)とより速いSlowcomponent b(アクチンおよび種々の微量蛋白)とに分類することもある.
 軸索の構成物質は軸索内で合成されず,細胞体から順行性輸送により供給されるので,この輸送を阻害する因子は軸索を障害する可能性がある.

健康学習の試み・3

コーディネータとしての保健婦の役割

著者: 大久保ふじ子

ページ範囲:P.348 - P.351

 老齢人口の増加に伴い,お年寄を家庭で介護しようという考え方が浸透しはじめてから,医療機関の訪問看護あるいはホームヘルパー・理学療法士・作業療法士・言語療法士による在宅訪問などが行われるようになった.また介護福祉士・社会福祉士の制度化にみられるように,多くの職種の人たちが地域にかかわりをもちはじめた.
 こうした状況の中で,多くの保健婦は保健婦の役割そのものが何か変化しはじめていることに気付きはじめている.しかし,どう変わってゆくべきなのか,どう対応してゆけばよいのか,はっきりと見極めることはなかなか難しい.私自身も,そういう不安を感じながら仕事をしてきたが,石川雄一先生との出会いをきっかけとして,多くの人と出会い,学習し合うなかで,私たち保健婦の役割が自分なりに整理できてきたように思う.

調査報告

高齢者の身体活動能力およびその障害要因に関する研究

著者: 大村外志隆 ,   児島三郎 ,   若松若子 ,   船木章悦 ,   沢部光一 ,   高桑克子 ,   大場ハルヱ ,   小町喜男 ,   飯田稔

ページ範囲:P.355 - P.359

●はじめに
 昭和60年の国勢調査によれば,わが国の総人口は1億2千万人で,このうち65歳以上の人口は1,239万人と,総人口の10.2%を占めるに至っている1).この65歳以上の人口は過去40年間に人口の占める割合として2倍,絶対千として3倍となり,今後も増加することが予想されている.
 このように人口構造の高齢化が急速に進み,高齢化社会あるいは長寿社会と呼ばれる社会状況の中で,高齢期における日常生活および社会活動が支障なく行えるためには,身体活動能力ならびに精神機能が健全に維持されることが必要不可欠である.高齢者の健康についての公衆衛生の重要な目的として岡田は2),生きる限り年齢相当に健康で働きうる人びとを1人でも多く維持することにあると述べている.

発言あり 余暇の活用

充実時間の拡大,他

著者: 宮野素行

ページ範囲:P.291 - P.293

 数字の上では,わが国は一人当たりGNP世界第1位になった.だがそんな実感を持っている人は少ないことだろう.
 数字と実感のかい離の犯人は,次の二つのゆがみであろう.第一は物価体系のゆがみ,第二は生活時間のゆがみである.

公衆衛生人国記

大分県—大分の保健医療史に残る人びと

著者: 伊藤秀夫

ページ範囲:P.352 - P.354

温泉
 「トビの湯」・「鳥の湯」等々,多くの伝承に見られるように,大分県の温泉の歴史は古い.豊後国守護職大友頼泰は文永9年(1272),温泉奉行を置き,建治2年(1276),彼が招いた一遍上人(河野通有の叔父)により別府の鉄輪地獄地帯を鎮めて蒸し湯を開き,更に浜脇・明礬の温泉を改修して元寇の役の負傷者の治療に当たったといわれる.
 以来,温泉は,民間伝承の薬草類とともに,庶民の疾病治療・健康回復の「湯治場」として利用されてきた.

保健行政スコープ

在宅医療の環境づくり

著者: 中島正治

ページ範囲:P.360 - P.361

●在宅医療の概念の整理
 近年,在宅医療や在宅ケアというテーマが,非常に多く取り上げられるようになってきた.医療,看護,介護,福祉,老人問題等,様々な角度からこれらの話題が議論されている.こうした議論の中身はわが国においてこの分野にどのような問題があり,これからどうしていくべきかということであるが,その主たるテーマはどちらかというと在宅ケア,つまり家庭において病人または寝たきり老人をどうケアしていくか,そのマンパワーや技術,あるいは社会システムの問題のほうにあり,在宅医療としていわゆる医学的治療を自宅で展開していくというところまでは必ずしも議論が進んでいないように思われる.しかし,例えば,慢性疾患で定期的な診療と投薬や指導を必要とするようなケースや,寝たきり老人に対してじょく瘡やリハビリに関する看護や指導を行うような場合は,通常,在宅ケアという概念の中で医療も含めて考えられているように思われる.
 つまり,現在のところ,在宅医療と在宅ケアということばは未分化な状態で使われており,実際上も各々の行為が,医療なのかケアなのか分かち難い場合も存在する。更に,こうしたサービスを提供する形態の上からも,わが国では欧米ほど,職種の分担が進んでおらず,例えば,訪問した保健婦や看護婦が,介護や身のまわりの世話を実際に行う状況も存在する.医師が直接往診し,医療を行う場合を除けば,在宅医療と在宅ケアの概念は非常に漠然と使われているように思われる.

衛生公衆衛生学史こぼれ話

49.ポリオと非衛生環境

著者: 北博正

ページ範囲:P.313 - P.313

戦前はポリオは珍しく 小児麻痺の名称かふさわしく,小児伝染病の1種とみなされていたか,まれにしか発生せず,試験の山にはならなかった.ところが大戦後,わか国のあちこちでポリオか発生し,1960年には北海道て人口10万対31.8,患者数5,600名という大流行か見られ,内地から"鉄の肺"か空輸されるという騒ぎとなった.
 ポリオの病原ウイルスは咽頭で増殖し,飛沫感染が短期間みられ,ついてウイルスは腸管に定着し,糞便とともに排出されて経口感染を起こす 実際には糞便による経口感染のほうが問題である.

日本列島

熊本県「県民健康フォーラム」—熊本

著者: 岩永俊博

ページ範囲:P.299 - P.299

 昭和62年度「県民健康フォーラム」が12月1日県立劇場で,一般県民や保健所,市町村の関係者など約1,200人を集めて開かれた.開会の挨拶に立った星子亘県衛生部長は,熊本県の疾病や高齢者についての現状や今後の動向予測を述べ,特に長寿社会での保健衛生行政の中での健康施策を,県民みんなで考え,行政や住民組織,また県民一人一人が積極的に健康づくりに参加し,努力する必要性を強調した.また,WHOのオタワ憲章に触れ,保健行政の中だけの問題としてでなく,他分野との関連のなかで健康づくりを考え,進めていくことも力説した.
 続いて,午前中は国立公衆衛生院の小野寺伸夫氏を座長に,「これからの健康づくり」と題して,パネルディスカッションが行われ,4人のパネラーが,それぞれの立場からの意見や考えを提示した.最初に立った国立栄養研究所の辻悦子氏は,健康な生活の基盤としての食事の問題を取り上げ,個人差や地域差の大きい食事の問題を,家庭,学校,地域が一体となって,将来を持つ子どもたちも含めて"健康で生きるための方法"を学ぶ健康教育を考え、一人一人が実践することの必要性を提示した.次に,博多全日空ホテルクラブの水原博而氏が,健康のための運動という視点から,適正な運動の量と質について具体的に分かりやすく解説し,「ニコニコペース」を守って,成人病の予防と改善への提言をした.

「未来の東北博覧会」と保健所の役割—仙台市

著者: 土屋眞

ページ範囲:P.302 - P.302

 東保健所管内にある仙台港の周辺で,「東北新時代の夜明け,日本のふるさと新発見」をテーマに,さる昭和62年7月18日から9月28日までの73日間開催された「未来の東北博覧会」が無事に終わり,関係者は安堵させられている.
 協会事務局が当初に目標とした入場者200万人を突破した297万人の人波の賑わいも,82ヘクタールの広大な敷地に地方博では最大規模を誇った33館のパビリオンも今はない.人々が情熱を燃やし繰り広げられた数々のイベントも過去になり,芝生も水の広場も復元され,保健所の監視センターの看板もはずされた.

ヘルスウォーキング—岐阜

著者: 井口恒男

ページ範囲:P.354 - P.354

 高齢化と医療費の並行上昇が推移している中で,一次予防の重要性はますます高くなっており,特に,健康づくり運動の展開が急務となっている.栄養・休養・運動の中で,とりわけ運動が重視されながら,その普及には試行錯誤をくり返しているのが今日の状況のように思われる.
 岐阜県では昭和63年度の健康づくり事業として,県内99市町村に歩行道を設定し,各道路にキロ数や歩行によるカロリー減量などを表示した「減量ウォーク健康街道」事業を計画している.この事業では「カロリー計算一里塚」として,一定距離ごとに運動による肥満解消のためのカロリー支出の計算しやすい表示板などや,県内保健所や市町村で個人ごとの生活状況や体格,体力に応じた運動指導を行うための健康づくり指針の作成も企画されている.

基本情報

公衆衛生

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1170

印刷版ISSN 0368-5187

雑誌購入ページに移動

バックナンバー

icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら