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特集 産業医学最近の話題
生物学的モニタリング
著者: 緒方正名1 田口豊郁1
所属機関: 1岡山大学医学部公衆衛生学教室
ページ範囲:P.369 - P.373
文献購入ページに移動「生物学的モニタリング」(biological monitoring)とは,生体試料中に含まれる環境汚染物質を分析・定量して環境汚染の程度を評価することである.これに対し,「環境モニタリング」(environmental monitoring)は,外界の空気・水・食物などの試料を分析・定量して,汚染の程度を評価することである.
産業保健の領域では,生物学的モニタリングは,「工業化学物質のヒトの生物学的モニタリング」であり,生体試料(血液・尿・呼気等)中の化学物質,代謝物の定量値から,作業環境の空気中に含まれる有害化学物質の作業者の摂取量を求め,暴露の程度を評価することと位置づけられていた.さらに有害物質のヒトに対する初期の影響を測定し,暴露の程度,健康の危険度を評価し予防に役立たせることも,最近,生物学的モニタリングとして加えられるようになった.前者を「生物学的暴露モニタリング」,後者を「生物学的影響モニタリング」と呼んでいる(図1).
一方,環境保健の領域においては,生物試料によるモニタリングは,「生物試料による環境モニタリング」と言われ,自然環境中の生物集団における汚染物質(例えば,魚介類中の有機塩素化合物の量)を経時的に観察することによって,環境の汚染度の変動を把握・評価する方法をいう.
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