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特集 産業医学最近の話題
産業看護
著者: 奥井幸子1
所属機関: 1NTT東京中央健康管理センター看護部
ページ範囲:P.397 - P.398
文献購入ページに移動産業看護は欧米では100年の歴史を有し,看護の専門分野として定義,教育・訓練,業務内容,身分などが確立している.わが国では,1969年に第16回ICOH(International Congress on Occupational Health)が東京で開催され,IndustrialNursingの分科会がもたれたことから,"産業看護"という言葉が使われ始めた.1970年代の後半にIndustrial NursingからOccupational HealthNursingへと欧米での英語の呼称は変わったが,"産業看護"のまま普及,定着しつつある.
看護の対象が病気や病人のみでなく,健康な人にはその保持・増進のために,看護の立場から健康支援活動に参加するという考え方は,今日の看護界では常識となっている.産業看護とは,看護の基本理念や看護技術を,雇用されて働く人びとの健康の保持・増進に応用することである.日本産業衛生学会の教育・資料委員会による産業看護カリキュラム案(産業医学第23巻443頁)によると,「産業看護活動は看護の原理に立脚し,職域において組織的なアプローチを行うものであるとの前提に立っている.……中略……その基本は基礎看護修得ののちに教育される公衆衛生看護論(いわゆる新カリキュラム)に立脚し,公衆衛生看護を産業の場において展開することにある.」と定義されている.
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