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特集 地域環境保全と健康
地球化時代の環境保全
著者: 松下和夫1
所属機関: 1環境庁長官官房国際課
ページ範囲:P.534 - P.537
文献購入ページに移動1987年9月,オゾン層保護のためにフロンガスを地球的規模で規制しようとする国際条約(ウィーン条約)の議定書(モントリオール議定書)に,主要生産国24カ国が署名した,本年5月,わが国ではこの議定書を履行し,地球の環境保全に寄与するための法律が成立した,これによって,環境対策もいよいよ地球化時代に入ることになったといえよう.
従来,環境問題はどちらかといえばローカルな問題から端を発したものが多かった.わが国の歴史の中で最も深刻な被害を出した水俣病やイタイイタイ病などは,特定な工場から出る有害物質が,川や海に流れ込み,その地域の人々の健康を害したものであり,その意味では地域がある程度限定された問題であった.やや広域的な問題としては,四日市などの大気汚染の例があげられる.このような例でも,ある特定の地域の特定の(複数の)工場から出た排気ガス中の有害物質がぜん息等を起こしたものであり,影響地域は限定されていた.しかしながら,現在では,人間活動があらゆる分野で拡大し,地球環境へ様々な影響を与えており,一地域や,一国だけの問題では済まない現象が増えてきている.
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