文献詳細
文献概要
特集 「健康診断」の新しい動向
これからの健康診断
著者: 島尾忠男1
所属機関: 1結核予防会結核研究所
ページ範囲:P.4 - P.7
文献購入ページに移動ある疾病に対する対策は,ふつうは予防,患者の早期発見,治療,もしある時には後遺症対策から構成される.このうち治療については日本には開業医を中心とする医療制度が定着しており,費用については健康保険制度があるので,国や地方自治体が疾病対策を行う場合の主な内容は,予防と早期発見ということになる.しかし早期発見についても,なんらかの症状があり,医療機関を受診して発見される患者が多いので,初期には症状がみられないか,あっても少なく,その時期での発見が予後の改善に役立つ場合に,疾病対策としての健康診断が行われることになる.
疾病対策というと健康診断がしばしばその主軸であるという受け取り方をされるのは,有症状時の医療機関受診と治療が受け身の性格であるのに対して,健康診断と予防は,行政の側から積極的に国民に接触する方式であり,そのための予算が国や地方自治体によって組まれるのに対して,有症状受診と治療は現行の保健医療の仕組みの中で運用されるからである.広義の疾病対策には後者も含まれることは当然である.
掲載誌情報