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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生53巻5号

1989年05月発行

文献概要

発言あり 人工臓器

国家的な体制づくりがキーポイント,他

著者: 阿久津哲造1

所属機関: 1国立循環器病センター

ページ範囲:P.289 - P.291

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 人工臓器は,従来の薬剤や外科的修復・切除あるいは放射線による方法では治療し得ない生体臓器機能の一部,または全部を一時的にあるいは永久に代行するものである.
 これまでに30種類以上の人工臓器が開発され,多くのものが既に臨床使用されている.人工腎臓,人工肝臓,人工肺,人工心臓,人工膵臓,人工血管,人工関節,ペースメーカー,人工血液などがその代表的なものとして挙げられる.これらの人工臓器の歴史は新しく,今世紀に入ってからである.したがってその機能という点では,生体臓器のそれに比較すればまだまだ足元にも及ばない.例えば人工腎臓といっても,血液透析によって尿の成分を除去するだけでホルモンは全く関与せず,人工肝臓に至っては,人工肝臓という名前に値せず,生体肝臓機能のほんの一部を一時的に代行するにすぎない.上記のような代謝には関係しない人工血管や人工弁は現在では,10年以上の寿命がある.
 自らエネルギーを持つ機能的人工臓器の最初のものは人工心臓である.これはKusserowによる補助人工心臓の研究開始,Kolff-Akutsuによる全置換型人工心臓の研究開始といずれも1957年で,今年で32年の歴史を持ち,現在では前者では世界で600例以上の臨床例があり,本邦においても150例を越す症例が報告されている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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