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公衆衛生人国記
沖縄県—戦後沖縄のユニークな保健医療制度を育む
著者: 崎原盛造1
所属機関: 1琉球大学医学部保健学科
ページ範囲:P.352 - P.354
文献購入ページに移動戦後沖縄の保健医療は敗戦によって本土から切り離され,27年間も米国の統治下に置かれた歴史的背景の基に展開された.その間,軍事政策がすべてに優先し,米国の基地保有に支障を与えない範囲でしか自治も認められなかった.また沖縄は,日本の行政権が停止されたため,戦争で多くの人的物的資源を失い,「無」の状態からの再出発であった.
その戦後沖縄の医療行政で,最も重要な役割を果たしたのは大宜見朝計先生であった.県立一中から旧制福岡高校を経て,昭和13年新潟医大を卒業.翌14年,内務省の地方技師として沖縄県学務部社会課に赴任した.戦況が悪化し,敗戦の色濃くなった昭和20年初頭,本土出身の県衛生課長が出張名目で沖縄を脱出したため,その後任に大宜見先生が発令された.医療行政の責任者として知事らと行動を共にし,「ひめゆり」の女学生たちと同様,南部戦線に退避したが,壕の中で米軍の捕虜となって九死に一生を得た.
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