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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生53巻6号

1989年06月発行

文献概要

発言あり 地球とオゾン

文明社会への警告と自戒をこめて,他

著者: 佐野晴洋1

所属機関: 1滋賀医科大学

ページ範囲:P.361 - P.363

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 科学技術の進歩によって,我々は大変便利で豊かな社会に暮らしている.例えば,冷蔵庫,ルームクーラー,ヘアースプレー.ソファー,ドライクリーニング,消火器など広く庶民生活の中に浸透している.それぞれの機器に入っている冷媒,噴射剤,発泡剤,洗浄剤,消火剤などの主成分は塩素またはブロームを含むフッ素炭化水素類でフロン化合物やハロン化合物と呼ばれる.ともに人体に無害,引火爆発の危険もなく,極めて安定な化学物質で全世界的に大量に使用されている.
 ところが全く厄介な問題が起こり始めたのである.フロン類は揮発性が高いため容易に大気中に放出され地球の対流圏(地上から20km以内)ではほとんど分解されずそのまま成層圏に達し,そこで太陽からの紫外線により分解し,フロンに含まれる塩素原子が放出される.塩素原子1個が成層圏にあるオゾン層(地上20〜40km,特に25km付近で最も濃度が高い)のオゾン10000個を連鎖反応的に破壊し,その結果として地表に到達する有害な紫外線量が増加し(オゾン濃度が1%減少すると,地表に達する紫外線量は平均2%増加する),人の皮膚がんの発生率を高め,動植物の生態系にも大きな影響を与える.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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