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文献概要
地域リハビリテーションと機能訓練事業
機能訓練事業への市町村の取り組み
著者: 大原啓志1
所属機関: 1高知医科大学公衆衛生学教室
ページ範囲:P.415 - P.418
文献購入ページに移動地域におけるリハビリテーション(以下,地域リハ)は,老人保健法(以下,老健法)の施行に伴い,機能訓練として市町村の実施すべき事業となったが,それ以前から取り組まれた例があり,1971年以降は在宅老人機能回復訓練事業や老人保健医療総合対策開発事業としての推進も図られていた.高知県では,1960年代後半から地域リハが取り組まれていたが,老健法施行当時の地域リハの実施状況には,訓練内容,スタッフなどで市町村間の差が大きかった.その背景には,老健法以前に各市町村がスタッフ,財源,地理的条件,対象障害者の特性などとも関連して,それぞれ独自な工夫のもとに事業を発展させていたことがある.しかし,その差は,実施方法上の問題だけでなく,事業が始められた契機・動機とも併せて,地域リハの意義の理解や位置づけにおいても認められた.すなわち,機能訓練事業の効果的な実施には,事業実施方法に関するガイドラインだけでなく,その意義を明確にした事業の位置づけ,及びそのための実施態勢のあり方を検討する必要があると考えられた.
そこで,高知県ではプロジェクトチームを編成し,1984年から86年にかけて調査活動と討議を行い,提言をまとめた.筆者はその一員として参加したが,本稿では筆者の理解した地域リハのあり方と実施上の課題を,老健法以前に取り組まれた市町村の地域リハの実態から得た所見を中心に述べてみたい.
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