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雑誌目次

雑誌文献

公衆衛生53巻8号

1989年08月発行

雑誌目次

特集 地域保健情報のシステム化

地域保健情報のシステム化の課題と将来

著者: 中村好一 ,   原徳壽 ,   小林雅與 ,   坂田清美 ,   柳川洋

ページ範囲:P.512 - P.515

■はじめに
 急速な人口の高齢化に伴い早期発見を中心とする成人病対策は,国民の健康を守る上で最も重要な課題になってきた.
 現代の成人病健康管理は,いわば情報(データ)の洪水との戦いである.情報の洪水対策に勢力を使い果たしていては,本来の目的を達成することはできない.この洪水をうまく渡りきるための手法のひとつとして「システム化」という手がある.

感染症検査情報のネットワーク

著者: 宮村紀久子

ページ範囲:P.516 - P.521

■はじめに
 1963年,英国の数カ所の検査機関で従来英国にはなかったファージ型腸チフス菌が分離され,疫学調査の結果,これが分離された患者はいずれもスイスの一保養地に関係あることがわかった.現地では英国からの通報をうけて初めて流行の事実に気付いた.この例は,病原体情報が感染症対策に決定的役割をもつことを示した例としてよく引用されるし,同時に,感染症が,現在では国内だけでなく地球的視野の国際的対応を必要とするに至っていることを如実に示す例である.日本でも1966年,腸チフス中央調査委員会が設置され,腸チフス・パラチフス発生に対して,ファージ型別を用いた管理体制が確立された.今では個々の病原体のもつマーカーを指標にした検査は,流行パターンや感染源の追跡のためにルーチン化された基本的戦略である.
 つまり,患者の診断・治療に必須の手続きである病原体検査成績が,それだけの意義にとどまらず,これを収集し解析することによって,ヒト社会の中でのその病原体の動きをあぶりだし,その結果として進行している患者発生に適切に対応する科学的基盤を提供することになっている.このように,病原体の検査成績に基づく疫学—病原体疫学—,さらに宿主の免疫検査情報を含めてラボラトリーエピデミオロジーと呼ばれるこの分野が確立するためには,微生物学の進歩および検査法の発達と普及が前提条件であった.

パソコン利用による保健婦業務の効率化

著者: 遠藤昌一

ページ範囲:P.522 - P.524

■はじめに
 保健所業務のシステム化については東京都八王子保健所がオフコンを持ち,保健所業務全般にわたり,システム化に取り組んでいる.しかし現在の段階では,全国平均的な保健所では,オフコンを持つ包括的なシステム化にはまだほど遠いように思われる.それでも栃木県では,コンピュータが保健所業務の効率化には不可欠であると考え,1保健所にパソコン2台(1台は結核サーベイランス用)とワープロ1台を配置し,職員にはパソコン教室を開いて,基礎的な教育を行ってきた.しかし,保健所の実際の業務に対しての適用は,それぞれの保健所に任されている.筆者の所属する栃木県佐野保健所で主に活用されているのは,ワープロ機能と業務統計の集計・食品衛生・環境衛生関係の登録などである.
 しかしコンピュータにはもっといろいろな複雑な事務を効率的に処理する機能がある.例えば顧客に関する必要な情報を入力しておき,その適切な処理により顧客に積極的なサービスの提供を図ることが出来る.保健所にはさまざまな顧客,例えば病院・診療所・薬局・食品衛生および環境衛生関係業者・浄化槽管理業者などが登録されている.中でも最も緊密な,しかもさまざまなフォローアップの必要なのは,保健婦が抱えている保健指導を必要とする症例であろう.筆者らはこれらの症例の情報をパソコンで処理し,保健婦の保健指導の効率化を企てた.

保健所における保健情報のシステム化

著者: 宇田英典 ,   揚松龍冶

ページ範囲:P.525 - P.529

■はじめに
 現代が情報化社会と言われて久しい.保健所においても,さまざまな情報がいろいろな形で存在し,地域住民や保健医療関係者,関係機関においてそれぞれの立場で利用されている.保健所の情報は文書や資料,衛生統計としての意味合いの強いものから,それらの解析を通じて保健医療活動の一助あるいは,地域の公衆衛生活動の向上に資するものまで広範囲に及んでいる.保健所における情報のシステム化について,名瀬保健所を例にあげながら考えてみたい.

地域保健情報システムと民間事業

著者: 竹内文生

ページ範囲:P.530 - P.533

■地域保健医療活動と民間事業の動向
 地域保健活動の中で民間事業を話題にすることは,今までには余りなかったといって良いであろう.
 高齢化社会を迎え,保健医療サービスに対する需要が年々拡大し,保健医療分野が有望な市場として注目されるようになり,さまざまな業種の民間企業がいろいろなサービスを提供するようになってきている.今までは保健医療サービスといえば,医療機関や検診センターあるいは行政機関などが提供するサービスであり,営利を目的とする一般企業が参入しにくい環境があった.もちろん一部には,臨床検査,医療事務代行,リネンサプライなどの医療機関の業務を代行するような周辺分野では,民間企業によるサービスが行われていたが,いずれも企業規模としては小規模なものが多かった.ところが,人口の高齢化に伴う医療ニーズの拡大,医療技術の高度化に伴う分業化,専門分化の進展,一般の人々の健康への関心の高まりなどから,今までにはあまり注目されなかったような保健医療サービスが顕在化してきた.そして,昭和62年9月に示された「医業経営の近代化・安定化に関する懇談会報告書」をうけて,病院業務に関連する委託業務の範囲が拡大したことも,この分野への民間企業の参入を促している.

地域保健情報の健康教育への活用

著者: 真田紀代

ページ範囲:P.534 - P.537

■はじめに
 猪名川町は人口約2万人,面積90.19km2,東西8km,南北18 kmと細長く,兵庫県の南東にあり,町域の80%以上が県立自然公園となっている.
 本町は,昭和60年に保健センター(床面積610.49m2)を建設し,61年4月から業務開始.61年の後半には住民のための保健サービスを充実してゆくべく,パーソナルコンピュータ(オペレート7000マークⅡ)を導入した.

地域保健医療情報—長寿社会を健やかで安らかな社会に

著者: 福原毅文

ページ範囲:P.538 - P.541

■長寿社会は情報活用時代
 情報の時代といわれてすでに久しい.赤道上の静止軌道にある放送衛星からの24時間テレビ(TV)は,リアルタイムで茶の間(現代風にいえばリビングルームまたはベッドルームか)に世界中の出来事を克明に伝えているし,求めたい情報は情報誌によるサーチと,そこにも掲載されている各種の電話サービスでもって事が足りるようになっている.これらの情報媒体は,現在のところ(肉体的または精神的)若者の独占物の感がある.しかしこれからは,以下に述べるような理由で,人口構造の10数パーセントを占める,経済的にも時間的にも,また,精神的にも"相対的な余裕"を有するとみられるシルバー世代と,それほどの余裕はないが,人口構造の中核を占めている団塊の世代に属する人々により,活発に利用されるようになっていくであろう.すなわち,これらの人々は,生活環境の改善や医学・医療の進歩により,いわゆる限界寿命(一説によれば85歳)に限りなく近づくまでに寿命の延長(長命)を獲得し,過去において日本人が経験することのなかったほどの長い人生を生きるという恩恵を被ることにはなるのだが,その一方で,彼らは,かくも長き人生をいかに豊かで活力ある「長寿にふさわしい実り多き人生」とするか,といった非常に困難な,しかし,極めて重要な課題を課せられることにもなる.

地域保健情報システム化の専門教育

著者: 星旦二

ページ範囲:P.542 - P.545

 地域保健情報システムの役割は,公衆衛生学を基盤とした効果的で効率的な保健活動や計画を地域特性に合わせて企画,実施,評価するための一つの手段として位置づけられる.ここでは,その教育に活用した事例を基にして検討したい.ここで言う「地域」とは,保健所の管轄区域をさし,「保健」とは,公衆衛生と同義とし,「情報」とは,伝達や共有化を前提とした知識をさし,「システム」とは,複数の要素が共通の目的をもって活動するしくみと概念規定したい.

トピックス

農村における健康管理

著者: 木村慶

ページ範囲:P.546 - P.551

◆変貌する農業・農村
 いま農村の健康問題について論じようとするとき,高度経済成長によってかつてない大変動にさらされ,現在もなお変貌を続けつつある農業,農村の実情をぬきにして考えることはできない.
 この20〜30年間のわが国農業の縮小・衰退は著しい,1965年から85年の20年間に総農家数は23%の減少,専業農家は半減,第1種兼業農家は37%に激減している.農業就業人口の減少は農家戸数の減少よりはるかに激しく,基幹的農業従事者数は41%に,さらに,60歳未満の男子農業専従者数は,1970年の210万人から85年には97万人へと,わずか15年間に半数以下となった.農村から都市への人口移動が進み,とりわけ農村の若年労働力は,重化学工業が立地する太平洋沿岸地域の大都市へ大量に吸引された.それとともに,農外収入を求めて農家世帯員の兼業化も急速に進行した.

活動レポート

宮城県食生活改善推進員連絡協議会の活動

著者: 鎌田正子

ページ範囲:P.552 - P.555

●はじめに
 宮城県は東北地方の中央に位置し,8世紀に多賀城(現多賀城市に遺跡がある)が築かれてから今日まで,東北の政治・経済・文化の中心的役割を担ってきた,東は太平洋に臨み,西は奥羽山脈をはさんで山形県,秋田県と接し,北は岩手県,南は福島県へと連なっている.
 全面積は7,291km2で東北では最小である.人口2,221,519人,世帯数687,158戸(平成元年度4月末現在)であり,産業構造(昭和60年度国勢調査)は,第1次産業14.5%,第2次産業26.7%,第3次産業58.8%となっている.

進展する地域医師会の公衆衛生活動

郡山医師会の公衆衛生活動(2)—地域保健活動への取り組み

著者: 丹治芳男 ,   菊池辰夫 ,   原寿夫 ,   相崎雄二

ページ範囲:P.556 - P.557

■成人病検診の精度管理
 丹治 成人病に対する取り組みとしては,老人保健法制定に前後して,医師会に成人病対策委員会を設置しました.これは消化器,呼吸器,婦人科,循環器,眼底,乳がんの各部門に分けられています.これが現在の老人保健法による保健事業に大きな力となっています.
 原 郡山市では老人保健法が昭和58年にスタートして以来,老人保健事業の8項目のうち健康教育,健康相談,健康診査の3項目を医師会の各委員会で取り組んでいます.これはもちろん行政とタイアップして行っています.

地域リハビリテーションと機能訓練事業

地域リハビリテーションにおける保健所の役割

著者: 岩永俊博

ページ範囲:P.558 - P.561

■地域保健活動と保健所
 地域保健活動を,その地域に住む人たちの健康を守り,さらに安心して健康な生活のできるよう,住民参加を基盤として,関連の機関や団体,個人などが連携をとりながら,それぞれの役割や機能を果たしていく活動ととらえる.もちろんそれは,一つ一つの事業や業務を断片的にとらえるのではなく,「住民が安心して健康な生活のできる地域づくり」の活動の流れの中に位置づけることであり,むしろ,一つ一つの事業を地域づくりの活動として組み立てることといえる.保健の分野からは,健診や機能訓練事業,成人病教室などを事業として行っている.福祉には福祉の制度や事業がある.婦人会や老人会などもそれぞれの事業を進めている.それらの事業が,お互いにつながりを持ち,相互に作用しながら,「住民の健康」という地域づくりの方向へ組み立てられてこそ,地域保健活動としての生命が吹き込まれることになる.
 それは一つの目的のためにそれぞれ異なった目的,機能を持った機関や団体,個人などが,共通部分を見いだしながらそこでの役割を果たし,事業を進めていくことでもある.

保健所活動の新しい展開

大阪府吹田保健所における医療監視の取り組み

著者: 坂井芳夫

ページ範囲:P.562 - P.565

◇はじめに
 医療監視は医療法第25条注1)(昭和23年10月施行),医療法施行規則第42条注2)に基づいて実施されている.医療監視の目的は,病院が医療法その他の法令により規定された人員及び構造設備を有し,かつ適正な管理を行っているか否かについて検査することによって,病院が国民に科学的でかつ適正な医療をほどこすにふさわしいものにすることを目的として実施している.
 医療監視時の総監視項目数は170項目で,(1)医療従事者…6項目,(2)管理…33項目,(3)帳票・記録…13項目,(4)防災対策…7項目,(5)構造設備…46項目,(6)放射線管理…11項目,(7)放射線装置・同使用室…54項目となっている.この項目をみると「構造設備」,「放射線装置・同使用室」の両方で170項目中100項目を占めている.

事例からみる保健相談

痛風会における予防意識の形成

著者: 熊谷勝子

ページ範囲:P.566 - P.567

 健診結果を目の前にして悩む保健婦は多いだろう.要注意段階で住民が予防意識に目覚め,生活を改善したら,問題解決が早いと思うからである.しかし,症状のない「要注意」状態では,住民に問題意識を持ってもらうよう働きかけることは難しいことである.
 Mさん(30代)との出会いも同様であった.昭和45年の健診結果で,尿酸値9.7,訪問したい旨を電話すると,「元気で酒も飲めるし,仕事もできる.訪問してくれなくてもいい」との返事.その後,日常の忙しさにMさんのことは忘れていたが,昭和59年早々にMさんの妻が来庁し,「やっぱり保健婦さんのいう通り痛風発作がでた」と相談があった.経過をきくと,発作の前に尿酸結石も体験していたが,高尿酸との関連があるとは気づいていない.同じ頃,Mさんと同集落・同世代のHさんが,健診結果を受け取りにきた時,「尿酸値にH印(正常値より高い印)がついているが,この印は何か」と疑問を持った.痛風のことを説明すると,同じ症状がすでにあるという.でもねんざかと思って整骨院へ通院していると語ってくれた.「知らんということはこんなもんか」と彼は大笑いしたあと,「俺ばっかじゃない」と保健婦と学習体験を持つ彼は,学習会の必要性を感じたという.そこでMさんやHさんと相談し,健診結果から60名の対象者を選び,通知を出した.

統計のページ

病気の姿をデータで読む(2)—総死亡の全体像

著者: 倉科周介

ページ範囲:P.571 - P.574

 人がその生涯で1回しか出くわせない現象が少なくとも二つある.誕生と死である.数え間違いさえしなければ,これほど安全確実な観測対象はない.なにしろ測定誤差とか,信頼限界とか,架空の量を仔細らしく操らなくても話の通じる自然数の世界なのだ.0.5の誕生や-0.7の死亡などという代物がないことを理解するには,常識さえあれば十分である.
 誕生は割合に単純明快な事象だが,死亡のほうはさまざまな特性をもった混合事象である.発生する年齢位置もまちまちなら,原因も多彩である.誕生と違って画一的には扱えない.死因別という色分けが必要だが,その前に無色透明な死亡全体を観測する.

発言あり 家庭内の事故

医療人が研究と行動を,他

著者: 五十嵐正紘

ページ範囲:P.509 - P.511

 不慮の事故は,生後6ヵ月以前を除いて小児の死因の1位である,多大な努力が傾注されている小児がんによる死亡の3〜4倍の子供が,事故で死亡している.この事実,あるいはこの事実に有効な関与をしていない現状に,小児医療を担当するものとして不甲斐なさを感じる.小児のがんや慢性特定疾患に注ぐ以上の努力を,事故防止と事故による死や傷害対策に,医療従事者や医療行政当局が関心と努力と金を向けてよいと思う.事故に対する研究費が少ない,事故に対する学会や雑誌での研究発表が少ない,また卒前卒後の医療教育に事故関連事項が少ないのも事故医療への関心が薄く,取り組み不足であることを物語っている.
 乳幼児期の事故死では,家庭内での事故による死亡が交通事故死よりも多い.全年齢を通じてみても,家庭内の事故死は交通事故死の半分近くにのぼる,老人の家庭内事故死も人口の高齢化に応じて増加の傾向にある.同じ事故の中でも,交通事故に比べて家庭内の事故への取り組みが希薄である点は否めない.交通事故や保育所,幼稚園,学校,職場のような公共の場,集団の場での事故対策から,家庭内事故のような私的な場所での事故対策を重視する「視点の転換」も必要である.

公衆衛生人国記

福岡県—戦後福岡の公衆衛生を牽引した人々

著者: 重松峻夫

ページ範囲:P.568 - P.570

はじめに
 戦後の福岡県公衆衛生人国記に取り上げるべき人は多数あり,限られた紙数の中に述べ尽くせない.そこで,戦後福岡県の公衆衛生行政の基礎を定め,レールを敷き,人材を集め育て,福岡県のみならず,わが国の公衆衛生の発展に貢献された第3代衛生部長川上六馬,それに続く古野秀雄,前川藤造の3人の衛生部長の時代,福岡県公衆衛生の最も充実した活動期の人々を紹介する.

衛生施策の動向・都道府県 青森県

健やかで生きがいのある長寿県をめざして—生き生き健康県民運動の推進

著者: 大高道也

ページ範囲:P.577 - P.577

1.はじめに
 このところ全国的に村おこしや町づくりの気運が高まっている.「自ら考え自ら行う地域づくり事業」として全市町村へ一律支給されているいわゆる「ふるさと1億円」の活用の仕方も話題になっている.ぜひ健康づくりにも役立ててもらいたいと願うものである.健康づくりは,それ自体の意義はいうまでもないが,村おこしを促進する大きな要素であると思われる.健康こそが労働の原動力であり,健康イメージが地場産業を育て,病気の予防が医療費を抑制するなどからである.

保健行政スコープ

学校における健康診断の現状と課題

著者: 佐藤敏信

ページ範囲:P.578 - P.579

●はじめに
 学校における健康診断の歴史は古く,明治30年頃より身体検査という名称で行われるようになったのがその初めとされている.現行の定期の健康診断は昭和33年の学校保健法において明確にされ,今日に至っている.
 この間,児童・生徒の疾病構造や社会環境は大きく変化した.学校保健法に基づく健康診断についても,こうした変化を受けて見直しの機運が高まりつつある.

日本列島

性行為感染症の実態—岐阜

著者: 井口恒男

ページ範囲:P.521 - P.521

 岐阜県医師会は県の委託を受け,昭和60年度より毎年3ヵ月間にわたって,県下医療機関における性行為感染症(STD)の患者調査を行っているが,平成元年4月,60〜62年度の3ヵ年の動向を分析し公表した.
 STDのうち,梅毒は毎年100数十名がみられており,62年度は男87,女80である.淋病も梅毒と同程度の数であるが,62年度,男133,女23と,梅毒と比べ男に圧倒的に多い.非淋菌性尿道炎も相当数みられており,62年度,男182,女2で,やはり男性に圧倒的である.逆に,62年度から調査対象となった陰部カンジダ症とトリコモナス症は,女に圧倒的に多く,前者は男8,女387,後者は男5,女88である.他に,陰部ヘルペス,尖圭コンジローム,陰部クラミジア症も調査されているが,62年度は各々71(うち男36),52(同38),29(同4)である.その他疾患として62年度90(同62)がみられている.

昭和63年度思春期クリニックの実績—長野

著者: 藤島弘道

ページ範囲:P.537 - P.537

 長野県は,高齢化が全国に10年先駆けているので,県民挙げて高齢者対策に取り組んでいるが,保健予防課としては,高齢化社会だからこそ,次の時代を担うべき子供達に,健やかにたくましく育ってもらうよう,母子保健対策の充実に努めている.
 昭和62年に,2保健所で開始した思春期クリニックも,県単独事業のまま,平成元年度は,6保健所に拡充の予定である.今度,4保健所が63年に実施した事業がまとまった.健全母性育成事業の中で,集団指導を目指した思春期セミナーに対し,思春期クリニックは,個別相談を中心とした事業である.

公衆衛生研究業績集からの環境衛生報告—仙台市

著者: 土屋真

ページ範囲:P.545 - P.545

 仙台市では毎年,各公所ごとにいくつかのテーマを決めて,日常業務を業績集にまとめているので,日頃,そのことを頭に置いて仕事していることも多く,行政の質の向上につながっていると思われる.また学会形式の発表会での討議も交わされているが,どうもせっかくの成果がその場限りになりがちである.
 このたび環境衛生関係の発表分について,泉保健所内で「問題提起をこのまま受け流してはいけない.予算獲得に結びつけ行政に反映させればまとめるほうの心構えも違うのではないか」と指摘されたので,これを機会に主なものを紹介したい.

基本情報

公衆衛生

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1170

印刷版ISSN 0368-5187

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