文献詳細
文献概要
統計のページ
病気の姿をデータで読む(3)—感染症と戦後の総死亡
著者: 倉科周介1
所属機関: 1東京都立衛生研究所環境保健部
ページ範囲:P.644 - P.646
文献購入ページに移動それまでは,純然たる細菌感染症はもちろんのこと,一応は,細菌感染を主病像としない疾患でも,感染が予後を大きく左右していた.その脅威が一朝にして雲散霧消したのである.その結果,初期死と前期途中死が激減し,逆に終末死が増加するに至った経過は前回説明した.早い話が,細菌感染症では人は死ななくなったように見える.だが,感染症というものは,十把一括げにして忘れてしまってよい問題では決してない.それについては,別に触れる機会もあろう.ここでは本論に入る前に,抗生物質登場による疾病像の変貌を象徴する感染症の衰退について,手短かに触れておく.
掲載誌情報