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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生54巻1号

1990年01月発行

文献概要

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病気の姿をデータで読む(7)—肝硬変と肝癌—成長の代償

著者: 倉科周介1

所属機関: 1東京都立衛生研究所環境保健部

ページ範囲:P.60 - P.63

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 肝硬変は肝疾患の終着駅である.念の入ったことに,近ごろでは肝癌行きの引込線まであると取り沙汰されている.肝硬変が死因順位の第10位に登場したのは1968年,以後,1972年に9位,1979年には8位と着実に地歩を固めて今日に及ぶ.原因疾患の大半はウイルス肝炎とアルコール性肝障害で,日本では前者が80%を占めるという.男子が圧倒的で,年齢的には壮年後期,つまり後期途中死が多い.こうした“早すぎる死”の多発には,社会環境や生活環境の特性が,大きく関与すると思われる.戦後のわが国は,経済の高度成長によって混乱と窮乏からの劇的な離脱に成功した.その途上における社会構造のさまざまな矛盾撞着が,成員の健康に有形無形の影響を及ぼしたことは想像に難くない.それを念頭におきながら,肝硬変とその後続病変ともいわれる肝癌の動向を眺めることにする.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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