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現代の環境問題・7
土壌汚染—重金属等による土壌汚染
著者: 森下豊昭1
所属機関: 1筑波大学応用生物化学系
ページ範囲:P.693 - P.696
文献購入ページに移動1935年E. J. Underwoodによって,ウシやヒツジの喰わず症の原因が,コバルト欠乏による生理障害であることが明らかにされた.その地域に生育している草類には何の影響も見られないのにコバルト濃度が低く,それを食した家畜の反すう胃の微生物がコバルト欠乏によってビタミンB12の合成を阻害され,家畜が食欲不振になり痩せ衰えてしまう.その後,アルカリ土壌地帯でのモリブデン過剰による被毛退色〜不妊症の事例が明らかになり,また,セレニウム集積植物の摂食によるウシの障害の事例などが良く知られている.このように,土壌の母材の特異性,土壌条件,特異な集積植物などによって,微量元素の過剰あるいは欠乏による家畜の健康障害が生じる.
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