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エスキュレピウスの杖
(7)夏の国際会議・休み・パリ
著者: 麦谷眞里1
所属機関: 1WHO本部
ページ範囲:P.710 - P.711
文献購入ページに移動人手が足りないのか,私が暇だと思われているのか,いろいろな会議に出席させられる.自分には,まったく関係ないと思って第三者的に眺めていた事柄に,突然何の前触れもなく当事者になってしまうので,キャッチ・アップするのが容易でない.
7月に,上記の二つの会議にWHOの代表として出席した.といっても前者は4週間,後者は3週間にわたって開催されるので,毎日毎日,朝から晩まで出ていたのでは,本来の仕事が何もできなくなるから,プログラムを見て,関係のありそうなところだけ顔を出すのが日課である.二つの会議の日程がほとんど重なっているので,もともと二つとも出席することは物理的に不可能である.幸い,両方ともパレ・デ・ナシオンと呼ばれる国連欧州本部の会議場で行われており,適宜行ったり来たりできるのは便利であった.いずれの会議も,出席する前は,大方WHO総会と大同小異だろうと思っていたが,やはり勝手が違い,関連書類ひとつにしても,すぐに探せないで苦労することが多かった.もうひとつ驚いたことは,人権委員会の議長がタバコを吸いながら議事を進行することで,しかも,その部屋の壁には,英語とフランス語で,大きく「禁煙」と書いてあるのに,である.その瞬間,幽霊の正体を見たような気がして,人権だかなんだか知らないが,とても付き合いきれないという気になった.
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