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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生54巻12号

1990年12月発行

文献概要

発言あり

ワクチン—ワクチンと副作用についての考察,他

著者: 高橋理明1

所属機関: 1大阪大学微生物病研究所

ページ範囲:P.803 - P.805

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 ワクチンの根源はいうまでもなくジェンナーの種痘である.その際牛痘が用いられ,雄牛のことをラテン語でvaccaとよぶので,後にパスツールがジェンナーの功績をたたえて同様の予防剤をワクチン(vaccine)と名付け,それが広く用いられるようになった,そしてその後続々と開発されたワクチンにより,古来人類にとって大きな恐怖であった感染症,特にウイルス性疾患の多くが予防できるようになった.
 ウイルスワクチンのなかでもポリオ,麻疹,風疹,ムンプス,水痘などよく効いているワクチンはいずれも生ワクチンである.生ワクチンは自然のウィルスを弱毒化したものであり,ヒトの体内での増殖性が減弱したものや,組織例えば神経組織への親和性が減弱したものが使用されている.したがって多数のヒトに接種した場合,少数に元のウイルスの持っている臨床症状が若干現れることがある.例えばポリオの生ワクチン服用後に,極めて稀に(100万人に1〜2名程度)マヒ症状が現れることがあり,これを何とかもっと少なくしようとする努力がはらわれてきている,しかしその危険性があるからポリオワクチンの服用を中止すべきであるという意見は,世界中どこにもない.それはポリオ罹患による重篤性に比べて,ワクチンによるメリットが余りに明らかであるからである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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